●「幸せのちから」で甦ったキャプラ・タッチ。

●12月5日（火）13-00 明石町＜ソニー・ピクチャーズ試写室＞
M-138 「幸せのちから」The Pursuit of Happyness (2006) columbia
監督・ガブリエーレ・ムッチーノ　主演・ウィル・スミス　★★★★
「群衆」「オペラ・ハット」「素晴らしき哉、人生」などのフランク・キャプラ監督が描いたアメリカン・ドリームの理想主義は、大不況の時代に生まれた奇跡の寓話として人気があった。
しかし、この作品は80年代のサンフランシスコで実際に起こったサクセス・ストーリーだ。
医療機器メイカーの倒産で無職となったウィル・スミスは、５歳の長男を抱えて妻にも逃げられた。
ホームレスの日々だが証券会社の面接を受けて、無休の研修を半年の間、毎日受けるためにその日暮らしの生活を強いられる。あの「クレイマー、クレイマー」よりも厳しい現実だ。
しかも１００人もの研修で正式に受かるのはたったのひとりなのだ。
こんな最悪でサイテーの日々にもめげずに、アグレシブに生きる姿が、コミック・タッチだが次第に映画的な説得力を持ち出す後半が素晴らしい。
実話の上に、実子との共演でスミスの演技も光り出し、気がつけばキャプラの「波も涙も暖かい」のようにホロリとする。
キャプラ映画で育ったファンとしては、本当に嬉しい作品だ。