細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●「ボビー」は「グランド・ホテル」1968年版だ。

2007年01月16日 | Weblog
●1月15日(月)13-00 銀座<シネマート銀座試写室>
M-003 「ボビー」BOBBY(2006) MGM
監督・エミリオ・エステベス 主演・ロバート・ケネディ、アンソニー・ホプキンス他 ★★★★
1968年6月5日。
ロサンゼルスのアンバサダー・ホテルで起こった、あの上院議員で次期大統領候補だった、ロバート・ケネディ暗殺の日。
あのホテルにいた22人の偶然の縮図をアンサンブル・キャストで描いている。
シナリオのアイデアが素晴らしい。
それぞれに破綻したり転落したり、失望している人生のスケッチの日。
ラストの襲撃の瞬間に、そこに居合わせた運命の皮肉を、ドラマティックに、しかしさらりと描いた佳作だ。
とくにその日のドジャースのゲームのチケットを持っていた、厨房のヒスパニック青年や、落ち目の歌手デミ・ムーアのヘアメイクをする、これまたダメ亭主の浮気に悩むシャロン・ストーンのエピソードなど、なかなかに泣けるのだ。
たしかにボビー暗殺の悲劇を描いているものの、その事件ではなくて、当時の40年前の風俗と、倒壊しかかっているアメリカ人の個人生活を集約して見せた凡優エミリオ・エステベスの監督としてのセンスは非凡だった。