細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●5月の二子玉川サンセット傑作ベスト・10

2007年06月01日 | Weblog
●5月に見た自宅オーディオ傑作座のベスト10など。

1/「老兵は死なず」1943(マイケル・パウエル)主演・デボラ・カー DVD ★★★★☆☆
 ひとりの老軍人の回想を通じて、敵兵との友情や生涯愛したひとりの女性のイメージを追う、これぞ男のロマン。

2/「飾窓の女」1944(フリッツ・ラング)主演・エドワード・G・ロビンソン VHS ★★★★☆☆
 ひとり暮らしの男の妄想と転落。「七年目の浮気」は、これのコメディ・バージョンだと思えた。

3/「野良犬」1949(黒沢 明)主演・三船敏郎 DVD ★★★★☆
 ジョルジュ・シムノンの原作を見事に映像化した戦後のクライム・アクションの傑作。

4/「頭上の敵機」1949(ヘンリー・キング)主演・グレゴリー・ペック ★★★★☆
 戦争という極限状況でのリーダー・シップの脆さを描いた人間ドラマとして、大いに再認識させられた。

5/「船乗りシンドバッドの冒険」1946(リチャード・ウォーレス)主演・ダグラス・フェアバンクス・Jr .LD ★★★★
 自分の出生の秘密を辿って冒険の旅をするカラフルな大エンターテイメント。モーリン・オハラの妖艶美。

6/「シングルス」1992 (キャメロン・クロウ)マット・ディロン DVD ★★★☆☆☆
 ひとりで生きる青春の、複雑で皮肉なカリカチュア。その曖昧な虚弱性が、ここでは魅力的だ。

7/「ニュールンベルグ裁判」1961(スタンリー・クレイマー)スペンサー・トレイシー VHS ★★★☆☆☆
 戦争裁判の非条理なジャッジメント。その時代に居合わせた人間の不運をドラマティックに見せている。

8/「マイアミバイス」2006(マイケル・マン)コリン・ファーレル DVD ★★★☆☆☆
 古典的で通俗なテレビ・ドラマを、一本のハードボイルドなクライム・アクションにまとめた美学。

9/「転落した女」1989(ウィリアム・へイル)ロバート・ミッチャム VHS ★★★☆☆
 ミッチャムの探偵が巻き込まれる事件が、往年のRKO映画のような執拗なタッチで展開する嬉しさ。

10/「洋上のロマンス」1948(マイケル・カーティス)ドリス・デイ LD ★★★☆☆
 代理で南米への船に乗った歌手と探偵。その勘違いだらけの楽しいバラエティ。ドリスの歌がいいのだ。

という訳で、5月も懐かしい作品ばかりでした。
他に印象的だったのは、
●「暴力団」1955(コーネル・ワイルド主演)
●「落ちた偶像」1948(ラルフ・リチャードソン主演)
●「シュート・トウ・キル/影なき男」1988(トム・ベレンジャー主演)
●「海賊バラクーダ」1945 (ポール・ヘンリード主演)
●「ブラック・サンデー」1977 (ロバート・ショー主演)などなど・・・・でした。

●5月の試写ベスト3

2007年06月01日 | Weblog
☆5月に見た試写のベスト・3

●「酔いどれ詩人になるまえに」(監督・ベント・ハーメル)主演・マット・ディロン ★★★☆☆☆
ブコウスキーの呑んだくれ文学を、静的なノワール感覚で描いた酒気漂う男の至福な孤独感。ディロンが巧妙だった。

●「夕凪の街 桜の国」(監督・佐々部 清)主演・麻生久美子 ★★★☆☆☆
広島の過去と現代。いまを生きる女性が親達の運命を辿りつつ、自分の人生を見つけて行く旅路が、心にしみる。

●「プロヴァンスの贈りもの」(監督・リドリー・スコット)主演・ラッセル・クロウ ★★★☆☆☆
ワインの酔いに人生を変えた男の甘いロマン。ベストじゃないが、気持ちはよくわかる。

☆5月はロードショーで見た「クイーン」(監督・スティーブン・フリヤーズ)が文句なくベスト。とくにヘレン・ミレンの女王は圧巻だった。
しかし、試写の方は凡作が目立ち、上記の3作は、まずまずの上位作だった。

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●「プロヴァンスの贈りもの」に漂うワインの甘い香り。

2007年06月01日 | Weblog
●5月31日(木)13-00 紀尾井町<角川映画試写室>
M-068 「プロヴァンスの贈りもの」A Good Year (2005) fox 米
監督・リドリー・スコット 主演・ラッセル・クロウ ★★★☆☆☆
10年くらい前に大ベストセラーになった、ピーター・メイルのプロヴァンスものの、初めての映画化。
ロンドンで同窓生だった監督のリドリーは、たまたまプロヴァンスにワイン畑を持っていたので、この企画が実現したという。
ビリー・ワイルダー監督の「お熱い夜をあなたと」は、オヤジの遺骨を引き取りに来たビジネスマンが、イタリアの風土に魅了されて移住を決める話だったが、これも同様のミイラ採りのストーリー。
ロンドンのキレもの証券マンのラッセル・クロウの叔父が、プロヴァンスのワイン畑を遺してくれた。
その処分に出かけたものの、やはりワインの呑みすぎで、そこに残ることにする。
判りきった話だが、リドリー監督自身が、自分の真情として描いているので丁寧だ。
2時間の間に、こちらもその気にさせてしまう。
まさにブティック・ワインの風味がある。
映画的な評価などは、必要のないほど南仏プロヴァンス観光と、映像のムードに酔わされる。