細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『クライマーズ・ハイ』が描いた日航機墜落事故の報道戦争と波紋。

2008年04月11日 | Weblog
●4月10日(木)13-00 六本木ミッドタウン<GAGA試写室>
M-041 『クライマーズ・ハイ』Climber's High (2008)東映/日
監督/原田眞人 主演/堤 真一 ★★★☆☆☆
あの1985年8月12日夕刻。
日航ジャンボ機が524人の乗員乗客を乗せて消えた。
横山秀夫のベストセラー小説の映画化だが、当日の事故現場に近い前橋市。北関東新聞の社内報道デスクの混乱を描いている。
地方新聞社がどれだけ中央の大手全国紙に対して、闘争心を抱いているか。その怒りと焦りのようなガッツが集団男性ドラマとして、迫力があり、テンションも充満している。
主人公の堤は、小さい時にビリー・ワイルダー監督『地獄の英雄』を見て、地方新聞記者の勇気に憧れた。
独自の情報で、全国紙の意表をつく。あの映画では落盤で地中に閉じ込められた男を取材して、そのニュースが人気となったが、人道的な判断がラストで記者に問われた。
この映画のタイトルは、極限の緊張状態が過ぎた時の恐怖感の恐ろしさを意味している。
未曾有の大惨事の真実を、どこまで読者に伝えるのが記者の使命なのか。遺族への配慮を最優先にすべきだが、真相はあまりにも残酷だ。
その問題を男たちはとことん口論する。だから事故現場や世間の混乱事模様は極力配慮して、もっぱら記者たちのデスクの職場戦場を見せて行くのだ。
これだけの俳優たちの個性豊かな好演をまとめた原田監督の力量は凄い。
ただ主人公の個人的な登山のシーンとか後日談は、もっと整理した方がドラマのテンションは上がっただろう。
145分の長尺を一気に見せる事件記者映画として、かなり熱い作品だ。

●7月5日より、東映系でロードショウ