細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●『ぐるりのこと』で見る平成初期東京庶民生活の様子。

2008年04月19日 | Weblog
●4月18日(金)12-30 渋谷<ショウゲート試写室>
M-044 『ぐるりのこと』(2008)bitters end 日
監督/橋口亮輔 主演/木村多江 ★★★☆☆
試写室が超満員になる人気は、このドラマに共感したい人が多いからだろう。
法廷画家という特殊な仕事から、平成初期に起こった凶悪犯罪の裁判がスケッチされる。
その事件の異常性が、時代に生きる庶民の感情を逆なでするようだ。
木村多江とリリー・フランキーの夫婦にも、日常的にそうした危機がある。
流産、転職、家族離散、引っ越し、失業、そして生活苦からの妻の「うつ」などなど。
それでも、何とか平穏に生きて行く夫婦の姿を監督は繊細に描く。
これは、ごくありふれた夫婦のドキュメンタリーでもある。
とくにヒューマン・ドラマっぽい感動もないし、とくにハッピーでもない。
それでも生きるという、人間の生命力はある。これを鏡として自分の実態を見直すための映画かもしれない。

●初夏、渋谷シネマライズなどでロードショウ