細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『ファニーゲームU,S.A.』の恐るべき悪の浸食。

2008年10月05日 | Weblog
●10月3日(金)13-00 京橋<東京テアトル試写室>
M-113 『ファニーゲーム U.S.A.』Funny Game U.A.(2007) celluloid dream 米
監督/ミヒャエル・ハネケ 主演/ナオミ・ワッツ ★★★★
不快なる快作。
感動でむかつく。
ハネケ監督が10年前に作った作品を、アメリカのロングアイランドに舞台を移してリメイク。
その本質的な恐怖と、圧倒的な悪の脅威はそのままだという。
夏休みのサマーハウスに休暇でやってきた3人と愛犬の家族。
ごくありがちな午後。隣の別荘の客だという美青年が、卵を4個貸してくれと言う。
しかしどうも挙動がおかしい。バカ丁寧で教養もありそうだが、慇懃な態度には棘がある。
幸福な家庭を恐怖に落とし込むサスペンスは多いが、これは「デス・トラップ」のような一方的な殺人ゲームなのだった。
映像はクールで知的でベルイマンの映画のように洗練されているが、ドラマは野蛮で凶暴だ。
見終わった時の不快感は、映画の成功である。
これはどこにでも悪は存在し、それは法律とは関係のないレベルで、我々を突然に襲うのだ。
遊びのないゲーム感覚に、恐怖してしまった。

●12月シネマライズでロードショウ