細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『悲夢/ヒム』の夢と現実の解剖美学。

2008年10月10日 | Weblog
●10月9日(木)13-00 渋谷<ショウゲート試写室>
M-116 『悲夢/ヒム』Dream (2008) kim ki duk film 韓国
監督/キム・ギドク 主演/オダギリ・ジョー ★★★☆☆
独特の情念で描くギドク映画。
ファンタジーでもあり、狂的な境界線の迷走メロドラマでもある。
ジョーはいつも未練のある恋人を追うが、夢は中断する。
人身事故を起こした夢が、実は現実の事件だったことで警察に出頭したが取り合ってくれない。
実際に事故を起こしたのは夢遊病の女性だった。
つまり彼は夢のなかで彼女の行動を見ていたわけだ。そしてこのふたりの奇妙な関係が恋に堕ちて行く。
悲運な男女の関係は、こうして夢の中だけの幻覚なのだろうか。
ジョーは日本語で話し、イ・ヨナンは韓国語で話す、この異常な会話がストーリーの次元差を表していて奇妙な恋が並走するのだ。
不思議な悪夢のような夢の世界だが、デヴイッド・リンチの『ロスト・ハイウェイ』ほど落差がないだけに、軽い悲恋ファンタジーで終わったのが惜しまれる。

●2009年2月新宿武蔵野館などでロードショー