細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●『ホルテンさんのはじめての冒険』は新しい自己発見。

2008年10月30日 | Weblog
●10月29日(水)13-00 東銀座<シネマート試写室>
M-124 『ホルテンさんのはじめての冒険』O'Horten (2007) norweigian film fund ノルウェー
監督/ベント・ハーメル 主演/ボード・オーヴェ ★★★☆☆
67才で定年の日を迎えた寡黙で実直なポッポ屋の、ノルウェー版『鉄道員』だ。
たったひとりの家族の老母はホームにいるが息子を認知できない。こうして彼は、とうとう年金生活の孤独な老人となる。
鉄道一筋で、ダイヤのように正確な人生の歯車が、その日から次第に狂い出す。
全裸でプールで泳いだり、元外交官だと名乗る老人の部屋から隕石を盗み出したり、夜中にスキー・ジャンプをしたり、奇行が目立つようになる。
あの名作『アバウト・シュミット』のように計画性のないホルテン氏は、それでも至って飄々と生きる。
そのノホホンとした感覚が、このハーメル監督の前作『キッチン・ストーリー』と同様にスローライフを淡々と泳いで行く。
北欧の楽天的な国民性なのだろうが、シニアのためのファンタジーとして見ると心も和む。
人生には、まだやりたいことをする時間はあるのだ。

●2009年1月、BUNKAMURA ル・シネマでロードショー