細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『にせ札』を本気で作った連中の楽しかった日々。

2009年03月18日 | Weblog
●3月17日(火)13-00 渋谷<ショウゲート試写室>
M-030 『にせ札』(2009) bitters end 日
監督/木村祐一 主演/賠償美津子 ★★★☆☆
昭和25年、はじめて千円札が発行された時。
まだ戦後の貧困に苦しむ農村では、新しい通貨の価値観に戸惑っていた。
その混乱期につけこんで、まだ見たこともないひとを騙して儲けようと、にせ千円札を作った連中がいた。
これはその実際にあった事件の再現ドラマだが、初監督の木村祐一は、持ち味のユーモア感覚を随所に盛り込んで、どこか微笑ましい昭和の人間ドラマにしていて味がある。
所詮はバレてしまう偽札偽造の作業だが、まるで村おこしの新事業のような張り切りようの窃盗グループの日々には、ほのかな連帯感の暖かみもあって憎めない。
この不景気で貨幣価値の変動激しい時期に、こうした昭和の優柔不断でスローテンポな感覚も、ひとつの風刺漫画と言えようか。
できれば、犯罪映画ではなくて、懐古ファンタジーとして見て欲しい作品だ。

●4月11日より、テアトル新宿などでロードショー