細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『夏時間の庭』心地よい陽だまりにも曇りのち雨模様。

2009年03月27日 | Weblog
●3月26日(木)13-00 京橋<東京テアトル試写室>
M-032『夏時間の庭』L' heure d' ete (2007) 仏
監督/オリヴィエ・アサイヤス 主演/ジュリエット・ビノシュ ★★★☆☆☆
パリ郊外に住む75歳の祖母は、誕生日に3人の子供たち家族を呼んでパーティをした。
夏の午後の庭園の日だまり。ワインとプレゼント。
幸福を絵にしたようなシーンだ。
しかし死期の近い老婆の遺産に関する話には、誰も耳を貸さない。
そして彼女が他界したあと、それぞれの生活に奔走する息子や娘は、その庭園の家を処分することにした。
時代によって価値観の代わる世代と、それなりに不自由な現実。
遺された芸術品や美しい庭も、住む人を失えば何も意味をなさないのだ。
使われない器ほど哀しいものはない。家族の離散というよりも、時代というものの変貌を嘆く哀しみが、この作品の温かい資質だ。
クリント・イーストウッドの長男カイルが顔を出すのもテーマを象徴していた。
平板だが、奥行きのあるスケッチ画を見たような感動があった。

●5月、銀座テアトルシネマでロードショー