細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『ディア・ドクター』で問われる本当の医療とは?

2009年04月17日 | Weblog
●4月16日(木)13-00 六本木<アスミック・エース試写室>
M-041 『ディア・ドクター』Dear Doctor (2009) エンジンフィルム/日
監督/西川美和 主演/笑福亭鶴瓶 ★★★★
名作『ゆれる』から3年。西川監督の3作目はニセ医者の話。
過疎の山奥に派遣された研修医は、村にいるたったひとりの中年医師に疑問を抱く。
ほとんどが後期高齢者の村なので、医院に患者は多いが、ほとんどは薬で対応。とくに難病の患者は都会の大きな病院に送られるものだから、人気の医師のいる医院はまるで集会場だ。
しかし胃腸に障害のある老婆の病状を心配した娘が東京の専門女性医師だったことから、鶴瓶の好演するニセ医師は突然姿をくらませてしまった。そして警察の執拗な事情聴取。
資格はないが病人にやさしい謎の医師は、村では必要な男だったのだ。
果たして本来の医療とは。そして医者とは、あの『赤ひげ』のような人情家ではなかったのか。
淡々とした山の農村を舞台にして、この騒動記は、いろいろ考えさせられる現実問題を提起しながらも、西川監督はシリアスにはならずに、ほのかな愛情をこめて描いている。
ラストの意外な配慮にも、好感の持てるヒューマンな傑作だ。

●6月27日より、シネカノン有楽町1丁目などでロードショー