細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●『レスラー』の飽くなきリベンジの意味。

2009年04月21日 | Weblog
●4月20日(月)13-00 築地<松竹試写室>
M-043 『レスラー』The Wrestler (2008) wild bunch 米
監督/ダーレン・アロノフスキー 主演/ミッキー・ローク ★★★☆☆☆
まさにミッキー・ロークという俳優の人生を見るような、栄光と転落の日々はフィクションとは思えないようなリアリティーがある。その演技の壮絶さが実像とダブって見事だ。
20年前のピークを遥かに過ぎたレスラーは、スポーツというよりは、イベントの敵役としてプロレスショーをやって体はボロボロ。
ひとり娘には愛想をつかされ、年増のストリッパーとも噛み合ない。
周囲のレスラーたちも、この「おっさんレスラー」には手抜きしていて、アルバイトのスーパーでも冷遇される。人生は落ち目になると、どうにも止まらない。
しかし映画は常にこの男に愛情のある視線を送り、応援の声援を惜しまない。そこがいい。
ただ負け犬の転落を描くのでなく、その醜態にも温かな拍手を捧げているタッチには好感が持てた。クリントの『グラン・トリノ』の老人にも共通する人生観に、傷だらけの気概を感じた。

●6月、シネマライズなどでロードショー