細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●「風は強く吹いている」の爽快な駅伝ボーイズの疾走。

2009年10月17日 | Weblog
●10月15日(木)12-30東銀座<松竹本社試写室>
Mー107『風が強く吹いている』It's Blowing Hard (2009) 松竹/光和インターナショナル
監督/大森寿美男 主演/小出恵介 ★★★★
正月恒例の箱根駅伝を目指して頑張る大学生ランナーの青春、といえば、それだけで想像のつくスポコンドラマだが、その想像通りの弱小メンバーが、出場資格ギリギリの10人で励まし合う姿が、じつに整然とシンプルに描かれていて、コミック風な誇張には囚われずに、ひたすらに走る姿には、思わぬ感動をした。
時間をかけて、じっくりと、あの箱根駅伝をみつめて、そこに青春の燃焼と人間的な強さを育む構成、そして、10区間をそれぞれの10人のランナーの個性で築き上げたドラマは、去年の「ひゃくはち」にも共通した輝きがあった。
実際のシーンに、じつにうまく導入された出演者たちの走りもすばらしく、とくに林遺都の走る姿には、それだけで青春だけのもつ貴重な生命力と美しさが溢れていた。
願わくは、ラストシーンで部長の犬が、ランナーに駆け寄って、一声ワンと叫んで欲しかった。
今年の日本映画のなかでも、誠実で実直な青春映画として、群を抜いてトップだろう。