細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『誰がため』は実在した「グロリアス・バスターズ」の勇姿だ。

2009年10月30日 | Weblog
●10月29日(木)13-00 東銀座<松竹試写室>
M-114 『誰がため』Flammen & Citronen (2008) Nimbus rights デンマーク
監督/オーレ・クリスチャン・マセン 主演/トゥーレ・リントハート ★★★★
第二次大戦下のデンマークにも、ナチスの軍隊が駐留してユダヤ人殺戮が激化していた。
これはフラメンとシトロンという、ふたりの親友が決起してゲリラとしてコペンハーゲン市内に潜伏し、次々とゲシュタポやドイツ軍の高官将校たちを暗殺していった青春の実録だ。
謎の美女がダブルスパイとして絡み、まさにスパイサスペンスのテンションを持った、上質なフィルム・ノワールと言ってもいいし、暗黙の友情物語でもある。
無駄を省いて、直線的に彼らの行動を追いかけるシャープな視線は、まさにメルビルの映画美学もように、洗練されて目が離せない。主演のふたりも、この好演で007や「天使と悪魔」などのハリウッド映画に抜擢されたのも頷ける存在感だ。
戦力を持たない占領国にいて、自己をアピールするには、誇りを捨てて沈黙するか、彼らのように孤軍奮闘するか、その選択は熾烈だろう。だから彼らは後にヒーローとして叙勲したのだ。
正義のテロリストなのだろう。

●12月、渋谷シネマライズでロードショー