細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『インビクタス/負けざる者たち』異人種な人間達の共感を探る努力の結晶。

2009年12月19日 | Weblog
●12月18日(金)13-00 内幸町<ワーナーブラザース試写室>
M-136 『インビクタス/負けざる者たち』Invictus (2009) warner brothers
監督/クリント・イーストウッド 主演/モーガン・フリーマン ★★★★☆
1995年に、南アフリカで開催された国際ラグビー大会に出場した弱小の地元チームは、アパルトへイト後に就任間もないマンデラ大統領の不屈の尽力で、決勝戦を強豪ニュージーランドと闘った。
政治は国民相互の団結と使命感の共有が重要だと考えた大統領は、このスポーツイベント振興のために、私的な時間や収入までも注いで自国の選手たちの練習と、闘志の高揚に専心する。
実話だからストーリーは決まっているのだが、相変わらずイーストウッド監督は、流暢な演出と大胆なアイデアでドラマを一直線に疾走させ、またしても感動のラストを見事に飾る。
とにかく、お見事としか言えない圧倒的な映画的演出力だ。
大統領を演じるモーガンも、チームのコーチを演じるマット・デイモンも、ひとつの夢と理想に掛ける熱意は非常にシンプルで美しい。爽やかだ。
きめの細かな異人種の人間同士の配慮は、とくに前政権下のシークレット・サービスと、新任たちとの気まずい交流を通じて、スポーツにも似た心の団結を形成していく。その過程が感動を支えていた。
超満員のスタジアムにジャンボジェット機が降下してくるエピソードなどは、実際にはなかったかと思うが、その意外な迫力などは、さすがクリント監督ならではの豪快な見せ場だ。
恐らくは多くのアカデミー賞にノミネートされるであろう感動の力作である。

●2月5日より、丸の内ピカデリーなどでロードショー