細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『白夜行』で浮き上がってきた、呪われた過去の精算。

2010年11月18日 | Weblog
●11月16日(火)13-00 六本木<シネマート試写室>
M-140『白夜行』(2010)GAGA / image field 日
監督/深川栄洋 主演/堀北真希 ★★★☆☆☆
東野圭吾のベストセラー・ミステリーの執拗な長尺映画化。
25年ほど前の昭和末期。廃工場で見つかった質屋業の男の死体をめぐる謎は迷宮入りとなった。
担当刑事の船越栄一郎は、定年退職してからも、ひとり事件の真相にこだわっていた。
あの名作「殺人の追憶」や、「砂の器」を思わせる大河ミステリー。
このテーマを深川監督は、丁寧な視線で克明に追求していく。
ダークなモノトーンにこだわった画質は、久しぶりに本格ノワールを感じさせる。
長引く捜査過程の難航の片隅で、事件の被害者の息子と、交遊のあった少女も、はや三十路を過ぎていた。
この辺が東野文学に緻密な構造だが、やはり映像だけでは追いきれない。
とくに終盤の劇的決着は、無理な回想シーンのフラッシュバックがリズムを崩して、唐突に終わったのが惜しまれた。
変質な過去に囚われた重い青春が、映画の重量を支えきれないまま終わる。
とはいえ、近年屈指のミステリー大作の味わいは、かなり楽しめた。

■飛距離のあるセンターフライが、フェンスの上部に跳ねて、ビデオ判定の結果ツーベース。
●2011年、1月29日より全国ロードショー