細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『ザ・タウン』監督第二作でのベンの力量はなかなかの及第点だ。

2010年11月26日 | Weblog
●11月25日(木)13-00 内幸町<ワーナー・ブラザース試写室>
M-147『ザ・タウン』The Town (2010) warner + regendary
監督+主演/ベン・アフレック 共演/ジェレミー・レナー ★★★☆☆☆
「ゴーン・ゴーン・ゴーン」で、見事な初監督に成功したベンの、2度目の監督作品。
ボストンの低額所得者が住むチャールズタウンに育ったベンは、不良仲間と銀行強盗を繰り返していた。
勝手知った街なので、情報源や資金調達、そして逃走経路などはお手のものだ。
しかし人質にとった女性と恋におちてからは、この泥沼の犯罪地獄から這い出す努力を始める。
だが悪徳組織や悪友たちの関係を断ち切る方法はない。
名作「ミスティック・リバー」のように、その人間関係のしがらみから、強引に抜け出すのは死を意味している。
アカデミー脚本賞をかつて受賞したベンは、この映画で、悪人の心の移ろいを重点的に描こうとしている。
まるでフィルム・ノワールのようにダークでハードボイルドだった画調が、少しずつ優しさを見せる。
入念に計算された演出とリズムが、意外に心地いいのは、やはり彼の映画経験の豊富さだろう。
よく先輩クリント・イーストウッドやポール・ハギスの作品を勉強している意図が、随所に炸裂するのも楽しい。
そして往年のハリウッド犯罪映画のような、楽天性も持ち得た映画作りにはちょいと恐れ入った。
作家や監督は、第二作目が肝心だ。
それをベン・アフレックは見事にクリアして見せた。頼もしい新人監督の成果だ。
「ハート・ロッカー」の主演でオスカーにノミネートされたジェレミーが、また悪役を好演している。

■鋭いライナーがレフトの頭上を超えてフェンスに届いて、悠々の二塁打。
●2011年2月5日、新宿ピカデリーなど全国ロードショー