細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『完全なる報復』の破天荒な逆ギレおやじのバトル。

2010年12月04日 | Weblog
●12月2日(木)13-00六本木<アスミック・エース試写室>
M-150『完全なる報復』Law Abiding Citizen (2009) LAC films
監督/F・ゲイリー・グレイ 主演/ジェラルド・バトラー ★★★
愛する妻子を殺された男が、殺人犯との司法取引に不満を持ち、10年の歳月をかけて報復する。
気持ちはよくわかる。
どのような極刑であっても、被害者の気持ちは治まる筈はない。
しかし法律では、復讐は認められない。
多くの西部劇では、自分の力で相手を制裁してきたが、あれはまだ無法時代の話。
その激興した復讐心を、いまの時代にやることは、こうしたマジな劇映画では限界がある。
昨年の「マックス・ペイン」では、それを劇画的なファンタジーにして成功した。やくざ映画は美学だった。
まるで「羊たちの沈黙」のように執拗に、遠隔操作のように巧妙に人を殺すのはいいとして、ここまで司法に拘るのは別の次元。
犯人たちを殺したあとは、裁判官、そして市議会も標的となる。
これでは、ただの異常な逆恨み。
裁判制度に異論があるのなら、暴力ではなく、もっと法組織の内側から知的に攻めるべきだろう。
ジェイミー・フォックス演じる担当弁護士までが、ラストで暴挙にでるのは、如何なものだろう。
娯楽映画として見るには重すぎて暗いテーマである。

■力まかせの強打だが、ショートの正面でアウト。
●2011年1月22日より、TOHOシネマズ六本木ヒルズなどでロードショー