●9月28日(水)13−00 六本木<シネマート試写室>
M−119『サラの鍵』Elle s'appelait Sarah (2010) hugo production / studio 37 / canal+ 仏
監督/ジル・パケ=プレネール 主演/クリスティン・スコット・トーマス <111分> ★★★☆☆
これまた偶然だが、昨日見た「灼熱の魂」同様に、戦渦の悲劇を体験した母への追想。
ただしこちらは遺家族の捜索話ではなく、戦時下のパリで起こった実話を、女性ジャーナリストが調査するスタイル。
ナチス統治下のパリで、ユダヤ人家族を屋内競輪場に監禁。その人質をアウシュヴィッツに送ったという事実。
混乱を逃れた少女サラは、脱出して自宅の隠し部屋に残しておいてきた弟を探すが、既に死亡していた。鍵が運命を変えたのだ。
成人したサラは戦後ニューヨークに住み、家庭を守るが精神障害で晩年に自殺。
クリスティン演じるジャーナリストは、謎の多いサラの過去や遺族を探すが、みな一様に真実を語らない。
「アンネの日記」と同じような戦争悲劇の後日談を、監督は現代と過去を交錯させて真相を探る。
昨日見たアラブの女性のストーリーほど強烈で奇異ではないが、これもまた女性の信じられないような悲劇。
残された隔世家族にも、まだこのように、あの戦争の悲劇は残って行く。
宗教や人種偏見、文化と生活による運命の格差。
非常にドラマティックに再現された、こうした大河ドラマは、たしかに感動的だが、同時に哀しい。
クリスティンが、さすがに繊細な表情で好演している。
■レフトオーバーのヒットを野手がファンブルする間にツーベースヒット。
●12月、銀座テアトルシネマなどでロードショー