●1月6日(金)13−00 内幸町<ワーナー・ブラザース試写室>
M−001『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』Extremely Loud & Incredibly Close (2011) warner brothers
監督/スティーブン・ダルドリー 主演/トム・ハンクス <129分>★★★☆☆
さて、ことしも試写室通いのスタート第1作。
非常に長いタイトルだが、これは11歳の少年の過剰な心理状態を表現したもの。
10年前の、9−11の時に突然父を失ったトーマスは、もともと繊細な神経の持ち主で、ニューヨークに住む平均的家族のひとり息子。
あの時、あのビルにいて被災した父からの最期の電話に出られなかったことがトラウマとなっている。
父が残したひとつの鍵。その持ち主を探して、父との記憶を辿って行く。
これもまた「心の旅路」の試練と再生への苦難の日々だ。「サラの鍵」のマンハッタン版。
たしかにタイミングとしては、3−11にも共通した受難のテーマで、昨年も傑作「リメンバー・ミー」があった。
監督は「リトル・ダンサー」や「めぐり逢う時間たち」のキャリアから、非常に繊細に少年の感性を映像化している。
あくまでトム・ハンクスとサンドラ・ブロックの夫婦は、この映画では添え物だ。
多感な少年は防毒マスクをして地下鉄に乗り、ニューヨークに点在する名前の主を探して行く。
近所に住む不思議な老人マックス・フォン・シドーが、ただひとりの協力者だ。この味わいが救いだ。
たまたま、わが3−11では「ヒミズ」という秀作が生まれたが、対照的に、こちらはごく静的な心の冒険。
病んだ心の回復経緯は面白かったが、感動的な部分は知的すぎてか、どうも貧弱だった。
「ものすごくせんさいで、ありえないほどのこだわり」だ。
■左中間のいいところに飛んだライナーだが、失速してただのシングル。
●2月18日より、丸の内ピカデリーなどでロードショー