●1月10日(火)12−30 渋谷<映画美学校試写室>
M−002『預言者』Un Prophete (2009) tranceformer canal+ 仏
監督/ジャック・オディアール 主演/タハール・ラヒム <150分> ★★★☆☆☆
圧倒的な映像の強さで描く獄中ドラマ。
アラブ系の青年がフランスの監獄で過ごした7年間を、様々な男たちのエピソードで描く。
コルシカ島のマフィアが獄中を支配しているが、仲間の暗殺を指令されて実行したタハールはボスに気に入られる。
厳しい監獄の管理だが、要領によっては環境も改善される。
次第に信用を得た彼は、ボスの要請で一日外出のチャンスに、外での仕事もこなすようになる。
多国籍な暗黒組織グループの抗争なので、ほとんど会話もなく、暴力による決断と実行あるのみ。
去年見た「ゴモラ」のような、切れ味のいい映像処理が鮮やかだ。
どちらかというと、クールな映像と演出の定評があったオディアール監督だが、今回はキレまくる。
とくに、暗殺した男の亡霊が、狭い独房のなかに現れて会話するショットがいい。
非常に過酷な試練を経験して、青年はいっぱしの「男」として出所していく。
ワンマン・プレイのタハールの変貌ぶりが素晴らしい。
陰湿な監獄映画が多いなかで、これはユニークな人間ドラマとして共感の深い大作だ。
カンヌ国際映画祭でのグランプリ受賞は、やはりハンパじゃない。
■左中間のフェンス上段直撃の会心のスリーベース。
●1月21日より、ヒューマントラストシネマ渋谷などでロードショー