●1月18日(水)13−00 六本木<FOX試写室>
M−008『ファミリー・ツリー』The Descendants (2011) fox searchlights
監督/アレキサンダー・ペイン 主演/ジョージ・クルーニー <115分> ★★★★
先日、ゴールデングローブ作品賞を受賞したばかりの、本年度アカデミー賞大本命作品。
しかし印象は極めて誠実で地味なホームドラマの小品だ。
ジョージ・クルーニーはハワイ在住の壮年弁護士だが、妻がパワーボートの事故で緊急入院。
意識不明のまま、医者からはシリアスな病状を聞かされる。
家庭はバラバラで、ふたりの娘からは無視されて、妻も実は浮気中だった。
突然に、人生最悪のテーマを抱えたダメ親父が、それでも我慢の決断をする。
監督は過去にも「アバウト・シュミット」で似たような人生の落下点を見つめたが、今回もじつに冷静だ。
原題は「子孫」とか「継続するもの」のような、要するに中年男の命題でもある家系存続。ヤバいテーマだ。
彼は原住民の子孫で、実は先祖が残した広大な土地があって、不動産屋がリゾート開発で買い上げ交渉中だった。
親戚は高額の売却によって儲かる大金で、安楽な余生を夢見ていた。
もちろん、彼だって、それを売り払って優雅な余生を送りたい。しかしこの事件で、彼は本気で人生の役目を考えた。
すこぶる気楽なハワイアン・ホームドラマだが、実はテーマは深く、クルーニーが渋くて鈍感で、いいのだ。
そう、人生は楽な路だけを選んではいけない。案外、ズシーンとくるラストは感動した。
■軽く打った平凡なレフトフライだが、意外に伸びてポールを巻いたホームラン。
●4月ゴールデンウィーク、TOHOシネマズ・シャンテなどでロードショー