●1月27日(金)13−00 六本木<シネマート3F試写室>
M−012『アーチスト』The Artists (2011) la petite reine / studio 37 仏
監督/ミシェル・アザナヴィシウス 主演/ジャン・デュジャルダン <101分> ★★★☆☆☆
1920年代のハリウッド。時代はサイレント映画から、トーキーの時代を迎えていた。
まさにダグラス・フェアバンクスのように、この映画のジャンの人気は急落。
エキストラだった女優ペレ二ス・ペジョがトーキーで人気が出て、彼らの恋も逆転する。
というと、あの「スター誕生」と、まったく同じストーリーだが、この映画はハッピーエンドを目指している。
なぜ今、フランス映画が、往年のハリウッドを再現しようとしたのか。ただのノスタルジーではないだろう。
昔のほぼ正方形なスクリーン・フレームに敢えてこだわり、ヒッチコック映画の音楽でサイレント・ドラマ。
実は、このように、俳優がものを言わない方が、見ている我々の興味も高まる。その皮肉を狙っての作為なのだろうか。
いま、アカデミー賞にも、10部門ものノミネートを受けている人気は、そのフランスらしいスノッブな視点のせいなのか。
愛犬フォックステリアが、ジャンの足下で演技するのは、ウィリアム・パウエルの探偵もののパロディで、これがいい隠し味だ。
結局は、大不況で時代の変化も、この底抜けのオプティミズムで笑い飛ばそうという狙いが、案外に好評のようだ。
しかしである。しかしこれは90年も昔の映画手法だ。
オールドファンは、このような設定の映画は腐るほど見て来た。だから懐かしいが、それ以上ではない。
あの時代の時代考証をして、あのエジプシャン・シアターを再現したのも、遠い思い出なのだ。
それをアカデミーが、ことしの最高作と謳うのは、どうも眉唾で甘いような気がしてならない。
■バントと見せかけて、バスターのショート頭上のヒット。すかさず盗塁。
●4月7日より、シネスイッチ銀座などでロードショー