●1月30日(月)13−00 築地<松竹本社試写室>
M−013『少年と自転車』Le Gamin au Velo ( 2011 ) fleuve et archpel film べルギー
監督/ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ 主演/セシル・ドゥ・フランス <87分> ★★★☆☆
父親に捨てられた11歳の少年は、学校の施設を逃げ出して、美容師の独身女性の世話になる。
身勝手な大人たちの社会で、少年は溺れ、足掻く。
一応頼まれた用事は自分の自転車でこなすが、不良グループの誘拐にあって、軽い気持ちで窃盗をしてしまう。
しかし大して罪の意識のない少年は、大きな悪の魅惑に落ちて行く。
この作品は、思春期の少年が、両親の愛情を失ってから、どのように社会を漂流していくかを淡々と見せて行く。
ほとんど重要な会話もなく、ひたすら自分に自転車で走る少年の姿は、見ていて非常に虚弱だ。
警察で被害者との示談となっても、彼には善悪の判断がなくて、飄々としている。
まさにトリュフォ監督の「大人は判ってくれない」とように、それでも少年は前向きに生きて行く。
こうして善と悪の間を往来しながら、おそらく彼もひとりの大人になっていくのだろう。
美容師のセシルが「ヒア・アフター」のように、素晴らしい演技で、少年の未来を修正していく。
あの「息子のまなざし」以来久しぶりに発表した、ダルデンヌ兄弟の新作は、カンヌ国際映画祭でグランプリ受賞。
いまの「自転車泥棒」のように、少年の自転車も、まだまだ不安定な走りだ。
その危うい走りに、少年期の成長の不安と美しさが溢れている。
微妙な年齢期のお子さんのいる単身の片親は、見ておいたほうがいい作品。
■1.2塁間のゴロのイレギュラーヒットをライトが後逸してツーベース
●4月以降、BUNKAMURA ル・シネマでロードショー