細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『そして友よ、静かに死ね』70年代フレンチ・ギャング活劇への郷愁。

2012年07月21日 | Weblog

●7月20日(金)13−00 京橋<テアトル試写室>
M−087『そして友よ、静かに死ね』Les Lyonnais (a Gang Story) 2010 lgm films / gaumomnt france
監督/オリヴィエ・マルシャル 主演・ジェラール・ランヴァン <102分> ★★★☆☆
「さくらんぼ、ひとつかみで」というエドモン・ヴィダルの原作映画化。
つまり少年時代に屋台の「さくらんぼ」を盗んだのがきっかけで悪の路に落ちて行った友だちの話だ。
今は老年を迎えたジェラールが、長年の親友の35年前の裏切りを知り、<おとしまえ>をつけることになった。
おお、あの名作「現金に手を出すな」の再来かと期待したが、ほとんどは青春期の犯罪の回想なので、ノワール色は薄い。
つまり原題の言うように、これは「ギャング・ストーリー」。
男のロマンと友情は匂わせるが、全体の印象は、ハリウッド並みの若いタッチの銃撃戦なのでガックリ。
ま、それでもフランス犯罪映画伝来の、ダークな男性たちの体臭は匂うので、ありがたい。
ガブ飲みするウィスキー。やたら煙たいシガー。そしてタフなヒゲづらの野郎共の談笑と殴り合い。
70年代を回想しているので、アラン・ドロンとベルモンドを予想して見ていると懐かしいのだ。
髭で仏頂面のジェラールも、見ているうちに味はでてきた。
だから、もっと若い回想シーンを減らした方が、映画に深みが出て来ただろうにと惜しまれる。
まさに女性はオフリミットのタフな男性オンリー。薄汚い男子用トイレを覗いているような臭気なのだ。
「銀座シネパトス」が、閉館するという噂だが、これこそ最終興行すべきタイプの作品だろう。

■ボテボテの当たりだが地を這う痛打となりライト前。
●9月中旬、銀座テアトルシネマなどでロードショー