細越麟太郎 MOVIE DIARY

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『アルゴ』あのジェイソン・ボーンも呆れる人質救出サスペンス。

2012年09月12日 | Weblog

●9月11日(火)13−00 内幸町<ワーナー・ブラザース映画試写室>
M−109『アルゴ』Argo {2012) warner brothers entertainment / argo pictures
製作/ジョージ・クルーニー 監督/主演/ベン・アフレック <120分>★★★☆☆☆
1979年11月4日に起きた事件。アメリカ政府はこの事実を18年間も封印していた。
この日、パーレビ前国王の亡命に怒った暴動が過激して、イランのアメリカ大使館に過激派の暴徒が乱入。
殺害を恐れた大使館員6人は機密を処理して、カナダ大使館に安全の確保を願ったが、その事実が知れると全員射殺される。
CIAは救出作戦を練ったが、秘密工作員ですら、女性も含む6人の救出は不可能と判断した。
こうしたポリティカル・サスペンスの好きなジョージ・クルーニーは、さっそくこの奇策を映画化した。
ベン・アフレックも、すでに「ザ・タウン」でも演出力は実証済みだが、ここでも力量を発揮。
嘘のような恐るべき実話である。
特に現地で凶暴なデモを再現した撮影は圧巻だ。
その争乱のイランから、人質6人を救出するという方法を考えたベンは、当時人気だったSF映画の偽装撮影を思いついたのだ。
ハリウッドには、臨時のスタッフによるSF新作「アルゴ」の準備を開始。
ベンはその台本やコンテを持って単身イランに入り、6人を製作スタッフに見立てて現地ロケハンを開始。
もともとバカげた発想なので、大統領や政府機関も気乗りはしなかったが、危険な時間は迫っていた。
ややもすると陳腐なコメディになりがちな企画だが、ベンは非常にシリアスなサスペンス作品に成功。
まさにコスタ・ガブラスの政治サスペンスを見ているような面白さは、本当に意外だった。
それぞれの映画スタッフに化けた7人は、空港からスイス航空機に搭乗すべく争乱のエアポートに向かう。
まさに、拾い物の、1級サスペンス。装飾を廃したワーナーの宣伝も苦労が伺えた。

■センターライナーが意外に伸びて、野手の頭上。フェンス直撃のスリーベース。
●10月26日より、丸の内ピカデリーなどでロードショー