●9月29日(土)20−00 <試写新作自宅DVD鑑賞>
M−117『裏切りの戦場/葬られた誓い』Rebellion (2011) UGC / studio 37 仏
監督/主演/マチュー・カソヴィッツ 共演/フィリップ・ブファール <136分> ★★★☆☆☆
1988年に、フランス領ニューカレドニア、ウベア諸島で起こった事件の映画化。
独立を求めるカナック部族原住民の若者たちは、反乱を起こして警官や軍人たちを洞窟に監禁した。
交渉に向かった仏軍憲兵隊のリーダー、マチューは逮捕されたが、平和的に事態を解決すべく、リーダーの青年と話し合い。
友情の接点を確認して、フランス本国と妥協点を話し合うことを約束。
しかしミッテラン大統領とシラク首相は、選挙戦を控えていたために、早急に武力による強行解決を決断した。
この凄惨な事実は、当時の政府で封印されて、事件の詳細は報道されなかった。
しばらくフランス映画界からハリウッドに移住していたマチュー監督、あの鬼才が久しぶりの本国復帰。
若者の鬱憤を叩きつけた名作「憎しみ」や、ミステリー「クリムゾン・リバー」。ノワールの傑作「アサシンズ」などなど。
個性的ながら非常にテンションの充実した作品を連発していたフランス映画の気鋭が、久しぶりの復活だ。
戦地の銃撃戦も鮮烈ながら、この映画のテーマは友情である。
現地人とフランス軍ネゴシエイターの約束は、ごく普通の青年同士の友情であり、その基本には将来の夢があった。
しかし政治家や軍部は、その若者たちの友情を、野蛮な私欲と権力で踏みにじる。
じつに誠実で端正なカメラで、現地の美しさを捉えたカメラは、それとは対照的に惨く汚れた現実を対比して見せる。
あの「シン・レッド・ライン」を思わせるスタンス。
文化と伝統を守ろうと共感する、久しぶりのマチュー的映画力は、まったくパワーを失っていない。
■左中間を深々と破るツーベースヒット。
●11月24日より、シネマスクエアとうきゅう他でロードショー