●10月25日(金)13−00 六本木<シネマート3F試写室>
M−127『ルーパー』Looper (2012) endgame entertainment / film nation / dmg
監督/ライアン・ジョンソン 主演/ジョセフ・ゴードン=レヴィット <118分> ★★★☆
またしても、何だコリャー、の不思議映画だ。
劇画風といえばそれっきりだが、ワカラナイなりにも面白く最後まで見せるのは、ちゃんとした映画術があるからだ。
「マトリックス」や「インセプション」のタイプの、いわば現次元から遊離した、不可思議な仮想未来。
ただし人間の文化は衰退していて、文明もほぼ横ばいの破綻状態。というのがネガティブなスタンス。
だから、一種のノワールな趣味に溢れた殺し屋の話。
自虐的なモノローグと、ゴミだらけの排他的映像。ま、見物する分には面白い。
30年後の悪を根絶するために、ジョセフは処刑人として、未来から振り落とされた悪人を殺す。
この処刑人のジョセフは「ダークナイト・ライジング」でいい味を見せて、ここでも多彩な風貌を発揮。
ニヒルな笑顔で処刑して、それで得た金塊が収入源。はは、これは「ブレードランナー」の一派か。と気がつく。
大げさなタイムスリップや、奇怪な近未来の世界ではなくて、「第9地帯」のような冷めた視線がいい。
ところが、ある日、殺さなくてはならないターゲットが何と、またもブルース・ウィリスだ。
どうも視線が会った瞬間、あれ、30年後の自分だな、と察した瞬間に、彼は逃走する。
そりゃそうだ。未来の方が、テクノロジーは多少は先行しているので、戦術もスピーディ。
あとは親子の相克と清算のホームドラマ。というと甘いが、これも今風の時空エンターテイメントだ。
ま、アタマの体操を兼ねて、どこまで理解できるか。挑戦するには上出来のサスペンス。
ただしライアン監督の映画の見せ方としては古典的で、50年代と、あまり変わらない未熟な部分も多い。
■大きなライトフライだが、惜しくもファールラインを割って好捕される。
●来年1月12日より、丸の内ルーブルなどでロードショー