細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『スカイフォール』のボンドは過去最悪のピンチを迎えた。

2012年11月03日 | Weblog

●11月2日(金)13−00 神谷町<ソニー・ピクチャーズ試写室>
M−131『007/スカイフォール』Skyfall (2012) albert k. broccoli eon production / MGM / sony pictures
監督/サム・メンデス 主演/ダニエル・クレイグ <143分> ★★★☆☆☆
何とジェームズ・ボンド映画、生誕50周年。これがシリーズ23作品目という。
はじめて、渋谷のパンテオンで「007殺しの番号」を見てから、嗚呼、もう50年。
いまの渋谷ヒカリエのビルを横目に見ながら、この新作を語るのは複雑だ。
というよりも、これが映画という娯楽興行システムの歴史そのものの変貌なのだ。と、感じた。
あの何やらゲテもの的なスーパー・コミック諜報部員が、いまや超アスリートな特殊工作エージェント。
しかも今回は、巨悪なテロリスト・グループでも、美人スパイや危険暴走国家が相手でもない。
何と、元イギリス諜報部員による、英国秘密情報部の本部組織破壊を狙った陰謀で、ボンドは最悪の危機となるのだ。
まさか、こんな大それたシナリオを御大のイアン・フレミングが書く筈もないが、CIAの一連の内部抗争とテーマは似ている。
試写の際に、ソニー社の方から、この内容の詳細は、まだ伏せておいてください、という指示があった。
だから、この「スカイフォール」事件の詳細は書けない。
監督は99年の名作「アメリカン・ビューティ」でオスカーを受賞しているベテラン。
ボンド役のダニエルとは「ロード・トゥ・パーディション」でジョイントしていたので、さすがに手慣れた演出はシャープだ。
強敵の裏切りの元エージェントは「ノーカントリー」でオスカー受賞の、あの不気味なハビエル・バルデム。
これで、この映画面白くない筈がない。
しかも、ボンド生誕の地「スカイフォール」でのフランチャイズ対決。古城と地の利を活かした壮絶な対決となる。
アカデミー受賞の3人がタグを組んだ入魂の新作は、色事は抜きにした死闘の連続。
これが映画(モーション・ピクチャー)のエンターテイメントとしての醍醐味である。
それにしても、ダニエルは、「ブリット」時代のスティーブ・マックイーンにそっくりになってきた。
撮影はコーエン映画の名手ロジャー・ディーキンス。映像の美しさも、過去最高。文句なし。


■ラインドライブの左中間ライナーがフェンス上部を直撃。俊足のスリーベース。
●12月1日より、日劇ほかで全国ロードショー