細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『世界にひとつのプレイブック』のナーバス・ブレイクダウンな恋の行方

2012年12月26日 | Weblog

●12月25日(火)13−00 六本木<シネマート3F試写室>
M−153『世界にひとつのプレイブック』Silver Linings Playbook (2012) the weinstein company
監督/デヴィッド・O・ラッセル 主演/ブラッドリー・クーパー <123分> 配給/GAGA ★★★☆☆
クリーブランドの中流家庭。妻に別居されて躁鬱になって入院していたブラッドリーが退院してきた。
父親のロバート・デ・ニーロは熱烈なアメフト、イーグルスのファンで、相変わらずの家族はパニクって騒がしい。
毎日のランニングで、ノイローゼの治療をしていたブラッドリーは、夫に死別したジェニファーと一緒に走るようになる。
とにかくキレやすい病状の彼は、薬でどうにか精神バランスをとっているが、世の中、相変わらずアホらしい。
急逝したシドニー・ポラックが映画化を希望していた原作小説を、「ザ・ファイター」で注目された監督が引き継いだ。
アメリカの中都市の、ごく平凡な家族の、ごく平凡な日常だが、みんななぜかイライラしている。
入院して薬で治療するレベルは、常軌を逸してしまう精神バランスが、非常にデリケートだからだろうが、この程度の人間はザラ。
その平常心の破裂寸前の感情を描いた、一種のヒステリック・コメディだが、とにかく会話が面白くて飽きさせない。
ウディ・アレンは、そのアンバランスな精神状態をソフィスティケイトに描くが、この作品は、かなりエグイのだ。
見るべきは、ジェニファー・ローレンスのキレまくりの名演だ。
「愛しのシバよ帰れ」のシャーリー・ブースや「走り来る人々」のシャーリー・マクレーンのような素晴らしさだ。
きっと、また彼女はアカデミー主演女優賞にもノミネートされるだろうが、彼女の存在で作品が絞まった。
ロバート・デ・ニーロも「ミート・ザ・ペアレンツ」よりはマシなコメディ・リリーフでナイス・フォローだ。
それにしては邦題が平凡。「シルバー・ライニング(前途洋々)」のままでいいのに。

■テキサス性の小フライを3人の野手が譲り合ってポトリのヒット。
●2013年2月2日より、TOHOシネマズ、シャンテなどでロードショー