細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『カイロ・タイム/異邦人』はアップル味のパイプ煙草のようにソフト。

2013年07月17日 | Weblog

●7月16日(火)13−00 六本木<シネマートB1試写室>
M−084『カイロ・タイム/異邦人』Cairo Times (2009) foundry films / samson  films /カナダ+アイルランド
監督/ルパ・ナッダ 主演/パトリシア・クラークソン <90分>配給/エデン ★★★☆
争乱直前のエジプト、カイロでのオール現地撮影が美しい。
ニューヨークで女性誌の編集をしているパトリシアは、娘が恋人と駆け落ちをしたショックと、
ダンナが国連の職員としてエジプトに単身赴任をしているので、お互いの休暇を利用してカイロで落ち合うことにした。
ところがガザの争乱で、夫は多忙となり、空港に迎えてくれたのは夫の警備担当のアシスタントだった。
という、ま、これも好都合の「カイロの休日」という次第。
監督はカナダの女性で、主演はこれまでウディ・アレンの映画などでバイ・アクトレスがメインだった、ベテランのパトリシア。
とくれば、これはあの名作「旅情」や「旅愁」、「終着駅」などのカイロ版。
案の上、ダンナは多忙な電話ばかりなので、現地のアシスタントが当面のケアをすることになった。
このオバマ風の好青年、いやナイス・ミドルは、もちろんバイリンガルで、なかなかのジェントルマン。
旅の不安と人生の休憩時間で、当然のように、パトリシアの孤独感は、そのオバマ氏に傾いて来る。
多くの中年女性の、旅先でのアヴァンチュール映画の定石通りに、美しくロマンティックな映像はエキゾチックな魅力がある。
それはそれでいいのだが、結局は、ラストでダンナが突然現れて、あれれ・・・のオバマ氏の苦笑は、まさにこちらの気分。
せっかく、秘められた灼熱の恋のメロドラマが加熱すると思いきや、エコノミーなセンチメントに終わってしまった。
でも、やはり「ナイル殺人事件」じゃないが、ピラミッドのサンセットは美しい。

■素直なジャスト・ミートで、ごく平凡なレフト前ヒット。
●9月、新宿武蔵野館などでロードショー