●7月25日(木)13−00 内幸町<ワーナー・ブラザース映画試写室>
M−089『マン・オブ・スティール』Man of Steel (2013) warner brothers / legendary pictures 3D
監督/ザック・スナイダー 主演/ヘンリー・カビル <143分> 配給/ワーナー・ブラザース ★★★☆
あの懐かしい時代の「スーパーマン」の、誕生「ビギニング」篇かと思って見たら、これは別の新世代スーパーマンの登場だ。
だから、コミック・ヒーローの、あのパルプ・マガジンの感触を期待すると、みごとに裏切られる。
せめて007のように、ジョン・ウィリアムズのメロディでも聞けるかと思ったものの、その気配はない。
つまり「300」のザックと、「インセプション」のクリストファー・ノーランの机上の感性が、そのままブローアップされる。
この超音速のスピード感と、壮絶な破壊力は、たしかにいまのハリウッド・ディザスターのパターンだが、かなり疲れた。
ストーリーは、過剰の資源搾取で末期を迎えたクリプトン星から、赤児のクラーク・ケントは地球に送られる。
その父親、ラッセル・クロウは、あのマーロン・ブランドよりはグラディエイターで、まさに「300」である。
すでにマーヴェル・コミックスの風味はなく、もう50年代や70年代の趣味性はまったくないのだ。
あとは成人したクラークの秘密を奪還すべく、テレンス・スタンプの親戚のようなクリプトンの悪人たちが、派手な戦争を始める。
さすがに「ダークナイト」のノーランは、随所に新しい映像の破壊シーンを見せてくれるので、超高層ビルの崩壊シーンなどはスゴい。
でも、同じコミックでも「スーパーマン」はバットマンじゃない、ましてやアイアン・マンでもない。恋もするし親孝行もする。
ごくアメリカンなヒーローの筈で、その片鱗は見せるのだが、映画は派手な3Dの高速破壊シーンの連続だ。
結局は、あの懐かしいマーヴェル・コミックの明るく愉しい健全娯楽を期待すると、かなり痛い目にあってしまうので、ご用心。
ケビン・コスナーの老父も、この時代の落差に、ああミジメ。
■豪快な大フライだが、レフトのフェンス直前で失速。
●8月30日より、新宿ピカデリーほかでロードショー