●8月12日(月)13−00 渋谷<ショウゲート試写室>
M−098『ランナウェイ/逃亡者』The Company You Keep (2012) voltage pictures / wildwood enterprises
監督・主演/ロバート・レッドフォード 共演/シャイア・ラプーフ <122分> 配給/ショウゲート ★★★☆☆
昨年公開されて好評だった「声をかくす人」の監督ロバート・レッドフォードの久々の本格サスペンスだ。
1969年にピークだった、ベトナム反戦運動の過激派<ウェザーマン>の首謀犯たちは消息を断っていた。
当時は、フラワー・チルドレンたちの反戦ロック活動や、ウッドストックの人気で、こうした反政治活動は地下に潜ってしまっていた。
当局はその後も追跡捜査をしていたが、時間とともに、彼ら反動グループの消息などは風化しつつあった。
ところが最近になって、グループのひとりが40年ぶりに自首したことから、FBIは、また関係者リストを再調査。
名前を替えて、まったく別人として善良な家庭人だったレッドフォードは、身の摘発を逃れて、逃亡を始める。
面白いのは、彼がただ捜査網をかいくぐって逃げるだけでなくて、テロ・グループの主犯だった、元恋人を探すという二重構造。
そこで、まさに「再会の時」のクラス会のように、40年前の反動同士の現在が浮かび上がって来るという、ドラマの面白さ。
あの「コンドル」や「スパイゲーム」で培ったのように、このテのサスペンス演出の鋭い視線は、さすがレッドフォードだ。
その奥のふかい事件構造に興味を持った新聞記者のシャイアが推理して会ってみる古参が、実にいいキャスティングなのだ。
ニック・ノルティ、スーザン・サランドン、クリス・クーパー、リチャード・ジェンキンス、サム・エリオット、ジュリー・クリスティ・・・・。
おお、まさに70年代に活躍したスター達のクラス会のような、壮観な面々を見ているだけで、複雑な回想をしてしまう。
現在76歳のレッドフォードも、恐らくあの「追憶」の実現しなかった「パート2」への思いもこめて情感を連ねていくのだ。
「・・・あのときは<理想>を追っていた・・」
「・・・いや、俺は<可能性>に賭けていた・・・」
青春の反動は、こうして時代を経過してみりと、はかなくも、ただの「追憶」なのだろうか。実に深いサスペンス傑作だ。
■左中間へのライナーが意外に伸びて、フェンスへのツーベース
●10月5日より、新宿武蔵野館などでロードショー