細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『トランス』の多重構造サスペンスでアタマもトランスだ。

2013年08月19日 | Weblog

●8月16日(金)13−00 六本木<FOX映画試写室>
M−100『トランス』Trance (2013) fox searchlight / pathe / cloud eight
監督/ダニー・ボイル 主演/ジェームズ・マカヴォイ <109分> ★★☆☆
「こりゃ、何じゃい・・・」という映画がよくある。
自分の知性と映画的想像能力と試聴体力的な限界の範疇を超えた作品。とでも解釈すべきなのだろうか。
だから、悪い、と言っているのではなく、「わしゃ、わからん」という高度なレベルの作品なのだ。
オスカー監督のダニー・ボイルが、先般のロンドン・オリンピックでの映像監督をしていた前後に、これを製作していた。
そのロンドンで、スペインの画家ゴヤの絵画「魔女たちの飛翔」がオークションの会場から消えた。
もともと窃盗グループが計画的に会場から盗む計画で、競売人のマカヴォイと、ギャングのヴァンサン・カッセルが巧妙に仕組んでいた。
ところが実行の途中で、マカヴォイがアタマを強打されて病院に緊急搬送。そして名画を隠していた場所も記憶喪失。
この意外な展開で、事件の真相は失われた競売人の記憶の回復を待つしかない。
ところが記憶に残された鍵で、盗んだ名画の在処を辿ったが、そこには腐乱した女性の死体があった。
発想はミステリーとしては面白く、「華麗なる賭け」や「トプカピ」のレベルかなーーーーと、思っていたが後半は別の展開となる。
「トランス」とは、催眠状態のことらしいが、映画が催眠と錯乱と夢想症状で、しかもテンポが早い。
これは監督の趣味と技量の範疇なので、大体の見当はついていたのだが、猛暑の夏バテに見たから、こちらも「トランス」となる。
多くの窃盗グループの名作の多い中でも、こうも別のストーリー展開になり、ゴヤの名画までがシュールにアニメ化されては、もう参ってしまう。
多重構造の謎解きパズルのお好きな方なら、驚喜するかもしれないが・・・。

■初球ヒッティングで出たが、ベースをオーバーランしてタッチアウト
●10月、日比谷TOHOシャンテなどでロードショー