細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『悪の法則』はビッグネーム法則の並べ過ぎで、散らかしすぎ。

2013年11月05日 | Weblog

11月1日(金)13-00 六本木<FOX映画試写室>

M-139『悪の法則』The Counselor (2013) 20th century fox film / scott free / chockstone pictures

監督・リドリー・スコット 主演・マイケル・ファスベンダー <116分> 配給・20世紀フォックス映画 ★★★

名作「ノー・カントリー」のコーマック・マッカーシーの、映画のための書き下ろしストーリーだが、テイストは酷似している。

原題の「カウンセラー」とは、一般的には相談役だが、ここでは<弁護士>のことで、ごく普通の善良な男。

複雑な関係で、様々な業種のクライアントと付き合いがあるが、職業柄、善と悪の法律的な境界線は充分に理解していた。

しかし自分の結婚のことから、あるスピード違反の保釈金を流用したことから、ブラッド・ピットの麻薬の仲買人が登場してくる。

一応、表向きは誠実風なビジネスマンだが、実はカウンセラーの友人でもあるプレイボーイのハビエル・バルデムとも付き合いがあったのだ。

フィアンセのペネロペ・クルスの旧友だったキャメロン・ディアスも、実はメキシコの麻薬カルテルとの関係もあったので、事態は悪化。

金の出先は、実はメキシコの暗黒組織のものだったことから、一気にカウンセラーの夢の結婚は、まさに「悪夢」へと転落していく。

ちょっと「アイズ・ワイド・ショット」やデヴィッド・フィンチャーの「ザ・ゲーム」にも共通する、ダーク・フィルムの様相となるのだ。

このキャスティングで、このシナリオなら、絶対に面白いノワールになる筈なのに、どうも展開はなぜか歯がゆい。すっきりしない。

それは監督の、いつもの意外な映画的映像世界が、過去のタランティーノ系のファッキング・ムービーなどに遠慮したのか混沌としている。

恐らくビッグネームのスターたちの見せ場を作るために、気配りのしすぎで余分なシークエンスを入れたりしたためだろう。

だから、コーエン兄弟の作った数多くのハード・クライムには、残念ながら及ばない、<ファッキング・ジニアス>な凡作になったのだろう。

 

■当たりは痛烈だったが、センター手前で失速のライナー。

●11月15日より、日劇などで緊急ロードショー