細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『アイム・ソー・エキサイテッド』はマドリッド発、泥酔状態の<エアポート2013>だ。

2013年11月19日 | Weblog

11月18日(月)13-00 渋谷<ショウゲート試写室>

M-145『アイム・ソー・エキサイテッド』I'm so Excited ! (2013) el desso presents / film nation / canal+ スペイン

監督・ペドロ・アルモドバル 主演・ハビエル・カマラ <90分> 配給・ショウゲート ★★★☆

タイトルの前に「この映画はファンタジーで、現実にはありえない喜劇です」とコメントの出るほど、おバカな笑劇である。

アルモドバルという監督は、基本的に三谷幸喜監督のような視線を持っている才人で、まともな観点で勝負しても適わない筈だ。

スペインのマドリッド空港で待機中のペニンシュラ航空の整備士アントニオ・バンデラスと手荷物搬送係のペネロペ・クルスが揉めていた。

しかし定刻で離陸したメキシコ行きのジャンボは、1時間ほどして着陸用のランプが不具合なことに気がつく。さあアクシデント発生。

近くのエアポートに緊急着陸の要請を出したものの不具合で、そのジャンボは上空で旋回飛行を繰り返すが、機内では客のほとんどは寝ている。

ビジネスクラスの客室乗務員の3人はゲイで、ポインター・シスターズの「アイム・ソー・エキサイテッド」をフルサウンドで踊りだした。

とうとうパイロットの2人までが、その乱痴気騒ぎに加わって、機上は騒乱のオネエ・パーティと化すが、演出はいたって真面目である。

この異常な状況は、あの「フライング・ハイ」のラテン版だが、アルモドバルは、まるで50年代のハリウッド映画のように美術には凝ってみせる。

まさにテクニカラー映画のような華麗なライティングで、この異常なフライトを冷静に、華麗に見せるのだ。

絶体絶命の「エアポート2013」は、やっとラ・マンチャ空港への胴体着陸の許可が降りたが、すでに乗務員たちはテキーラで泥酔状態だった。

そんなオバカな<アリエネー・コメディ>でも、巨匠アルモドバルは沈着冷静にジャンボ機を滑走路に誘導してみせる。ま、さすがだ。

お正月のお屠蘇気分で大笑いするにはいいが、こんなフライトは、絶対にゴメンである。

 

■ファールで粘っての大きなフライだが、ライトが目測を誤ってヒット。

●2014年、1月25日より、新宿ピカデリーなどでロードショー