細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『パンドラの約束』それでも原発は必要なのだ、というドキュメント。

2014年02月10日 | Weblog

2月7日(金)13-00 東銀座<松竹映画本社3F試写室>

M-015『パンドラの約束』Pandore's Promise (2013) Impact Partners / Balcan productions + CNN films

監督・ロバート・ストーン 出演・ジェーン・フォンダ、スチュワート・ブランド他 <87分> 提供・フィルムヴォイス ★★★

都知事選挙も、結局は原発廃止の徹底推進の細川+小泉組が惨敗した。

このドキュメンタリー・フィルムは、もともと環境保護派で、とくに原発徹底廃止論のロバート・ストーンが、多くの国の放射能を観察。

もともとは地球温暖化の原因を追求しようという作為が、福島の事故以来、とくに原発の事故の現状をチェルノブイリの現在と平行して取材。

先日の読売新聞でも、この映画の作為のバックグラウンドが紹介されたせいもあってか、試写室はまるで永田町の議員会館のようなグレイスーツばかり。

というのも、世界の放射線量を調査した結果、原発事故とは関係のないデータが出た事と、それ以上の電力による文化度の進行格差が浮き彫りになったのだ。

結果、世界の文明発展進度は、もちろんそこの国や都市の電力消費量の格差が歴然となったのだ。

水力も、火力も、風力も、太陽光も、現在の巨大な消費都市のスケールには、とても追いつけない。そして多くの知識人の発言にも矛盾が多発したのだ。

巨大国は競ってエネルギー開発をしているが、ロシアの原子力エネルギーの半分は、アメリカ政府が平和的に買い上げているのだという。

つまり原子エネルギーも、自国の電力供給だけでなくて、世界の市場で貿易されて、平和的に活用されているという、この不思議な現実にストーンは主観を変えた。

始めは地球温暖化の根源は、過剰なエネルギー開発だったのだが、この世界の文化振興を支えているのは、つまりは電力なのだ、ということになる。

ソチの冬期オリンピックだって、あの華やかさは、すべて電力であり、当然、われわれの日常も、こうして電力に異存していることに変わりはない。

いろいろな知識人が作品のなかで語るが、もちろん結論はない。映画もその結論は、見た人の英知に任せるように、多くは語らない。

映画にも出た渋谷のスクランブル交差点の賑わいは世界一だが、これだけの人的な交通量があったら、これも電力になるだろうと余計な事を考えてしまった。

 

■ショート頭上へのライナーだが、伸びが足りなくキャッチ。

●4月19日より、渋谷シネマライズなどでロードショー