細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『泥棒成金』のデジタルで色あせぬヒッチコック美学。

2014年02月12日 | Weblog

2月10日(月)14-00 新宿ピカデリー劇場・11番スクリーン

M-016『泥棒成金』To Catch a Thief (1955) Paramount Pictures / hitchcock trust. all rights reserved

監督・アルフレッド・ヒッチコック 出演・ケイリー・グラント、グレイス・ケリー <106分> 提供・コミュニティ・フィルムセンター ★★★★

<ヒッチコックとブロンド・ビューティ>という企画で、3本のヒッチコック映画が、デジタル・リマスターでビッグ・スクリーンで、また見られる。

これは、ヒッチコッキアンにとっては外せない。どうしても、また大きなスクリーンで見たい。

本当は「めまい」を見たいのだが、なぜか夜の回のみの上映なので、それでは、と、こちらで我慢した。

月曜日の午後2時だというのに、ピカデリーの11番スクリーンは、ほぼ満席の状態だ。多くのシニアに混じって、若いカップルの姿も多いのには驚いた。

この映画を初めて見たのは、まだ高校生の頃で、盛岡市の中劇だったが、その面白さに魅了されて、渋谷の東急名画座や、テアトルハイツでも見た。

これまでもベータマックスや、VHS、LD, DVDでも入手して、もう数十回は見ている作品なのに、やはりでかいスクリーンで、また見たい。

これって、何なんだろう。と、疑心暗鬼で見ていたが、これはもう、あのケイリー・グラントとグレイス・ケリーが、呼吸している・・・という実感なのだ。

もう、この美男美女はとっくに、この世にはいない。見ているのは、ただの映画の記憶なのだ。しかし自宅のDVDとは違う。

それは、フレンチ・リビエラの海の風や花の香りを、この大きなスクリーンで見ていると、なぜか思い出すのだ。

グレイス・ケリーがまだモナコの王妃だった時代に、いちどモナコの崖の上をドライブしたことがある。そのときの風を感じたのも、このスクリーンだ。

やはり、映画は大きなスクリーンで見なくてはいけない。そんな当然、判りきっていることを、この時間に痛く知らされた。

ヒッチコックの話術の巧さは、細かな捨てカットにも意味を持たせていて、改めて感服した幸福な時間だった。

 

■見事なバックスクリーンへの美しいホームラン。

●4月14日まで、新宿ピカデリーなどでロードショー