細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『プリズナーズ』のクールなカメラによる少女失踪事件の真実。

2014年02月15日 | Weblog

2月12日(水)12-30 東銀座<松竹映画3F試写室>

M-017『プリズナーズ』Prisoners (2013) alcon entertainment / mad house entertainment

監督・ドゥニ・ヴィルヌーヴ 主演・ヒュー・ジャックマン <153分> 配給・ポニー・キャニオン ★★★☆☆☆

最近、とくに少女が突然に行方不明になる事件が日本でも多い。そのケースはまちまちだが、両親にとっては最悪の悲劇となる。

この映画もペンシルヴァニアの郊外の住宅地で起こった、ふたりの少女の失踪誘拐事件を、不幸な家族からの視点で描いている。

11月の終わりの寒い感謝祭の日。ふたつのご近所家族がささやかなパーティをしていた午後。ふたりの少女が外に出たきり消えてしまった。

父親のヒューとテレンス・ハワードは、すぐに近所の住宅街を探すが、降り出した雨で、誰も外出などはしていない。

一台のキャンピングカーが森の路上に止まっていたので、ヒューは不審に思って、ドライバーの青年をパトロール警官に突き出した。

しかし警官のジェイク・ギレンホールは、その青年が10歳程度の知能の障害者なので、すぐに釈放してしまった。で、・・・事件は迷宮入り。

素晴らしいのは、今年もアカデミー撮影賞に、この作品でノミネートされているロジャー・ディーキンスのカメラで、まさに捜査の視点で周囲を凝視する。

そのカメラ目線が秀逸で、この作品の知的なレベルを上げているのだ。これでは、2時間半もの上映時間も飽きさせない。

非常にクールなカメラは「羊たちの沈黙」のようでいて、「ノー・カントリー」「バーバー」の、彼の過去の映像レベルを、より鮮烈にして美しい。

事件は「エンド・オブ・ウォッチ」のジェイク刑事の執拗な捜査で、意外な展開を見せて行くが、非常に達者な脇役が揃っているので、見事なのだ。

ただ、ひとり、ヒュー・ジャックマンだけが、「Xメン」と同じように過剰に力演するので、せっかくの知的ノワールのムードが損なわれているのが、残念。

とはいえ、最近見た犯罪映画では、抜群のテンションを維持した傑作ミステリーである。とくにラストのカットが秀逸。

 

■シャープなライナーが、ダイレクトにレフトのフェンス上段を直撃のスリーベース。

●5月3日より、丸の内ピカデリーなどでロードショー