細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『トランセンデンス』の発想はフランケンシュタインの再現だが。

2014年05月01日 | Weblog

4月28日(月)13-00 築地<松竹映画本社3F試写室>

M-044『トランセンデンス』Transcendence (2014) alcon entertainment / summit /  lions gate

監督・ウォーリー・フィスター 主演・ジョニー・デップ <119分> 配給・ポニー・キャニオン ★★★☆

こうしてブログに勝手に試写で見た映画のことをメモをして10年になるが、その間に、2台のパソコンがウィールスのせいで殉死した。

その間に、多くのデータやメモリーが消えてしまったし、自分も年齢的に、最近は忘れ去ってしまう記憶も多い、が、こうしてブログは残る。

毎日のようにパソコンに接しているが、このマシーンの記憶装置が、本当にどんな仕掛けがあって、どこにデータが記憶されているのかは、知らない。

もし、このデータの記録が、自意識を持ち、ハートと決定権を持ったらどうなるか。・・・。そうなったら、わたしはパソコンをやめるだろう。

この映画のタイトルは、「超越」という意味らしいが、もしこのマシーンが意志的に人間の知性を越えて別の知性を持つとしたら・・・という仮説のハナシ。

もし、スティーブ・ジョブやアインシュタインの頭脳が、そのまま生存していたら・・・という発想は面白い仮説なのだが。

ジョニー・デップは、こうしたPCなどの人工知性の科学者だが、大学での講演のあとに、テロリストの放射線の銃撃を受けて死亡した。

しかし妻の科学者は、デップの知能を保存して、尚もその知性との対話を試みて、インストールしてあった「知覚」とのコンタクトに成功する。

「2001年宇宙の旅」のスーパー・コンピュータ「ハル」は、人間を遥かに越える知性を持っていた、しかも自分の意志でオーナーの人間を裏切った。

同じように、ここでもデップの知性は、たしかに交信できたが、当然のように、別の意志を持って人間に指令や警告を出すようになる。それ見ろ。だ。

何となく「フランケンシュタインの逆襲」のリメイクのようだが、このトランセンデンスは、妻に対しても、あまり情愛のようなヒューマンな感覚は持たない。

クリストファー・ノーランが制作指揮をしているので、多少期待したのだが、後半になってイメージやテンションも拡散してしまって、テーマも消滅。

フランケンハイマーの「セコンド」のように、やはり、「人間性」そのものの正体に迫って欲しかったが、これでは「知性ゾンビ」という印象に終わった。

 

■当たりは左中間への鋭いライナーに見えたが、後半で失速。

●6月28日より、新宿ピカデリーなどで全国ロードショー