細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『ラスト・ミッション』やはり壮年ケヴィンは硝煙と銃声が似合う。

2014年05月22日 | Weblog

5月19日(月)13-00 渋谷<ショウゲート試写室>

M-052『ラスト・ミッション』"3 Days to Kill" (2014) europacorp / relativity media / 3dtk 

監督・マックG 主演・ケヴィン・コスナー <119分> 配給・ショウゲート ★★★☆☆

ほぼ10年ぶりになるケヴィン・コスナーの本格主演になるアクション映画なので、かなり見るのに気後れしていたが、なかなかいいではないか。

彼はベテランのCIAエージェントなのだが、妻とは別居中でハイスクールの娘とも疎遠。ところが最近末期がんの宣告を受けたばかりのヤバい苦境。

それなのに、当局からは未開発のガン特効薬の接種をエサにして、パリの核兵器密売組織の要人を消すために、<ラスト・ミッション>を受けてしまった。

ま、よく聞いたような話で、たしかリーアム・ニースンの「96時間」も、同じような話だったが、ま、このテのサスペンスはタイムリミットだから面白い。

しかも「レオン」のリュック・ベッソンのプロデュースで、オール・パリのロケ。監督のマックGも、徹底したアクション派なので、無駄な感情シーンは少ないのが利点。

そしてかなり中年の疲れが表情に出ているケヴィンが、これが意外に渋くていいではないか。無駄な御託は並べないで、どうせ余生は短いぜ・・・と居直った表情が曇る。

勝手知ったるパリの裏町を、派手なカーチェイスを展開する映像のワザは、あの「TAXI」シリーズのベッスン・プロジェクトだから、かなり歯切れもいい。

案の上、ドジなバカ娘がイケメンのボーイフレンドが組織とつるんでいるのも知らずに拉致されてしまって、発作で意識の遠のくケヴィンも必死に追跡する。

ま、ここでは、ベッソンのコメディ趣味は封印して、久しぶりにアクションに徹したダメオヤジの悲哀が滲んで、2時間になるサスペンスは飽きなかった。

とりあえず、かくして完全の現場復帰を果たしたケヴィンも、あの「ボディガード」の頃の爽快なガンプレイを見せて、本人も「ワイアット・アープ」気分なのだろう。

まだ「エクスペンダブル」のオヤジ仲間には入らないで、孤高な壮年ガンマンを演じるケヴィンの陰りの表情には、まだまだ「おぬし、やるわい」の気迫が見えた。

 

■ベテランの技ありの渋といライナーが右中間を抜いてツーベース

●6月21日より、新宿バルト9などでロードショー