●9月9日(火)13-00 神谷町<ソニー・ピクチャーズ試写室>
M-101『NY心霊捜査官』" Deliver Us From Evil " (2014) sony pictures / jerry bruckheimer P.G.A. production
監督・スコット・デリクソン 主演・エリック・バナ <118分> 配給・ソニー・ピクチャーズエンタテイメント ★★★☆
何しろ「パイレーツ・オブ・カリビアン」のジェリー・ブラッカイマーが本気のプロデュースというから、ただの「オカルト」事件ものじゃない。
あのイラク戦争に従軍した3人の特殊部隊員が、タリバンの巣窟を銃撃捜査した際に、地下の墓地に転落。帰国後にニューヨークで神経症を発症して猟奇殺人事件をおこす。
「セブン」のような話だが、戦争帰還兵の異常殺人というのが、いかにも、第二次世界大戦後に生まれたニューロティックなフィルム・ノワールの発想と酷似している。
だから、ニューヨーク市警の心霊事件の特別殺人捜査官のエリックが、現場や謎めいた死体の検証をしても、この野獣的な猟奇殺人の犯人像は一向に浮かんでこない。これは大事件なのだ。
アパートで起きた妻への異様なドメスティック・バイオレンスや、動物園のライオンの檻に幼児を投げ入れた母親。アパートの地下で発見された腐乱死体。それらの事件には接点があった。
エリック捜査官は、その3つの事件には、共通したイスラム語の怪文が刻まれていることから、イスラム教にも通じる神父に事件の真相解明のアドバイスを相談するが、・・・またも事件。
要するに、よくある事件ものではなく、その背景にはイラク戦争での異常な精神的な傷痕と、アラブの異教徒の<INVOCAMUS>と書かれた呪いが染み込んでいて、とても近代捜査法での解明は困難なのだった。
わたしはエリック・バナのファンなので、ちょいと苦手な怪奇映画なのだが、見方を変えればフィルム・ノワールのジャンルでもあることから、かなり面白かった。
そこが、やはり大御所ブラッカイマーが触手を動かしたポイントなのだろう。大都会捜査ミステリーとしては異色だが、ある意味ではこれも反戦映画でもあろう。発端は異教徒との戦争なのだ。
ただし、事件がなぜか深夜の地下室ばかりで起こり、エリック捜査官が夜勤刑事なものだから、ほとんどが夜間の暗闇で進行するので、見ていて閉所恐怖症になるのも困ったものだ。
たしかに、異常な心理による怪奇殺人も、ハンニバル・レクターの異端児がニューヨークには異常浸食していたのだ、という恐怖。かなりヤバい。
■センターライナーが照明に入って野手が落球のヒット。
●9月20日より、