細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『サボタージュ』もいいけど、無理すんなよ、シュワちゃん。

2014年09月17日 | Weblog

9月11日(木)13-00 六本木<アスミック・エース3F試写室>

M-102『サボタージュ』" Sabotage" (2014) QED international / Crave Films / Open Road.

監督・デヴィッド・エアー 主演・アーノルド・シュワルツェネッガー <109分> 配給・ブロードメディア・スタジオ ★★★☆☆

昨年見た新作で、わたしが個人的に年間ベストワンにしたのが、エアー監督の「エンド・オブ・ウォッチ』だったものだから、これは監督の期待の1本。

タイトルは、ヒッチコックの旧作と同じだが、ストーリーは全く別もので、こちらは凄腕のDEA。つまり麻薬捜査の実動チームの話。しかもサボタージュを仕掛ける。

われわれが日常的にいう「サボる」というのは、仕事をスッポカしたり、時間をズラしたり、という程度のものだが、ここでは本格的な<破壊工作>のことだ。

元気なシュワちゃんは、その麻薬捜査グループの凄腕リーダーだが、今回は超強力な麻薬カルテルの摘発に、前から僣入捜査官を送り込み、大掛かりな摘発作戦を敢行。

壮絶な銃撃戦の末に、ほとんど裏組織を壊滅して、その埋蔵金も一部チームの<売上金>として確保。これでまた表面的にはアメリカ財務省から、その実績が認められた。

エアー監督の凄さは、その実戦シーンの映像処理の切れ味のよさで、相変わらずモタついているシュワちゃんのアクションも、この監督のテクニックで20年は若返る。凄い巧い。

で、そのチーム8人で一丁上がりで乾杯していると、後半はそのグループのメンバーが、かなり猟奇的な手段でひとりずつ殺されて行く。仲間の裏切りなのかロシアン・バフィアの下請けヒットマンの仕業か。

この謎めいた殺しのテクニックが想定外で、さすがのシュワちゃんもリーダーとして、じっとしていられなくなってくる。あの「レザボア・ドッグス」を思わせるサスペンスが迫ってくるという仕掛け。

ヴァイオレンス・シーンを、これだけリアルに見せるのは、道義的には如何なものかとも心配するが、それを気にしたら、このデヴィッド・エアー演出の魔術を楽しめなくなる。さすがに凄いのだ。

とうとう魔のテが次第にリーダーにまで迫って来て、ラストは壮絶なサバイバル・アクションの炸裂。この度肝を抜くようなエアー監督のアイデアは、多くの映像クリエイターの勉強になる筈だ。

さすがにシュワちゃんはお年なので、この過酷なアクションは見ていて辛いが、これも元カリフォルニア州知事の正義感の証明なのか、と、我慢して見るしかないが、とにかく老骨に鞭打っての奮戦。

この映像の新しい手腕に惚れ込んだブラッド・ピットは、エアー監督にオファーを出して、新作「フューリー」も完成して、近日試写が始まるから、お楽しみである。

 

■痛烈なライナーが左中間を真っ二つに破り、ツーベース。

●11月、日比谷みゆき座ほかでロードショー