●9月17日(水)12-25 六本木ヒルズ<TOHOシネマ・SCREEN2>RS
M-106『るろうに剣心・伝説の最期編』"Feel the Future" (2014) Warner Brothers International
監督・大友啓史 主演・佐藤 健 <135分> 配給・ワーナー・ブラザース映画 ★★★☆☆☆
和月伸宏原作の<コミック明治剣客浪漫譚>を、大掛かりな3部作劇場映画として完成した、これがその完結編。8月に公開した2作目の「京都大火編」に続いての連続公開だ。
だから2作目の試写は見たが、この3作目は公開も迫っていて、ほとんど試写はなく、それでは・・・と、劇場に出かけた次第だが、この作品は大画面で見るのがいい。
何しろハリウッドの大手ワーナー・ブラザースのブランド名での世界公開を視野にして、2、3作だけで30億円の制作費をかけて制作して、すでに日本だけで100億円の興収を突破。
とにかく、ダイナミックな剣劇アクションがふんだんで、クラシックな睨み合いの剣劇とは違い、こちらはカンフー・アクションや、体操の床運動の競技種目を見ているように爽快だ。
明治維新の時代に逆流した藤原竜也の演じるテロ集団リーダーは、あの大やけどのために全身包帯を巻いた姿で、イスラム系ゲリラのようで異様。剣が火を噴くアクションが凄まじい。
2作目で、重傷を負った剣心は、かつて剣法の師匠だった福山雅治に助けられて、山奥で養生して<人斬り抜刀斎>の剣の再修行を重ねて、まさに「キル・ビル」のように奇跡の復活をする。
この映画は、勧善懲悪なストーリーよりも、再三に繰り広げられるチャンバラのスピードと、華麗なアクション演出の新鮮さが見どころで、作品のほとんどは斬新チャンバラで構成されている印象は、まさにゲーム感覚。
だからクラシックな武士道の極意を期待していると、かなりハズレる。しかし、映画というのは、<モーション・ピクチャー>なので、舞台劇とは違う。そこを大友監督は今の感性を強調して押しまくる。
盛岡の高校の後輩の大友監督とは、2年前に盛岡の市民映画祭のパーティで会ったのが初めてだったが、その時はちょうど撮影の合間で、この作品は「ただの時代劇ですよ」と笑っていた。
NHKの出身なので、わたしは、どうせテレビの大河ドラマのような作品を作っているのかと思い、この「るろうに剣心」の話を特にしなかったのを恥じている。だからこそ驚いてもいる。
味のある旬なスターを多用しながらも、それぞれに派手な見せ場を作り、娯楽映画としての圧倒的なスピード感で駆け抜ける、この3部作は、たしかに<現代の時代劇>なのだ。
ただアクション・サービスが過剰気味で、高齢な当方には、正直、多すぎた。美味も大盛りでは食傷する。・・・でも若いファンには、これでも足りないかも・・・。
世間にはメガヒットの娯楽映画を嘲笑する、古風な煩さ方も多いが、商業映画というのは、ヒットしたからこそ、その真価を認めるべきだろう。アート性はそれに付随して生まれる。
さて、まだまだ若い、盛岡一高後輩、大友啓史監督の次なる企画は、恐らくはハリウッドも放ってはいないだろう。大いに楽しみだ。
■フルカウントからの豪快な一発はバックスクリーンのフェンス直撃。
●全国の映画館でヒット中