●9月26日(金)13-00 六本木<シネマートB-1試写室>
M-108『自由が丘で』" Hills of Freedom " (2014) Jeonwonsa Films. 韓国
監督・ホン・サンス 主演・加瀬 亮 <67分> 配給・ビターズ・エンド ★★★☆
タイトルで、あの東横線の”自由が丘”がテーマの新作を、名手ホン・サンスが来日して撮った新作と勝手に勘違いしたのは、キアロスタミの「ライク・サムワン・イン・ラブ」のせいか。
試写状だけの情報でハヤトチリしてしまった当方は、お恥ずかしながら、試写室に入って初めて、これは目黒区の「自由が丘」とは何も関係のないという事実を知って愕然。
実際の舞台は、韓国のソウルにある北村という一角にある袋小路のような街。車も入って来れないような路地裏のカフェ<自由が丘>が舞台となる。
主人公の加瀬亮は、以前その街で語学スクールで知り合って恋におちたガールフレンドに会う為に、長ーーーい手紙を書いて、彼女との再会を楽しみに訪れたのだ。
数枚のラブレターを読みながら、クオンという女性は階段で手紙を落として、そのページの順番が判らなくなり、しかも肝心の1枚を紛失してしまった。
それを知らぬ加瀬亮は、その袋小路にある小さなゲストハウスに泊まっては、カフェ<自由が丘>で彼女を待つが一向に現れない。気にかけたウェイトレスの女性とディナーを共にした。
ま、そこはよくある<韓流ラブロマンス>のような乗りなのだが、どうもストーリーが進展しない。しかも前後が曖昧な編集でイライラして見ていて、やっと気がついた。
つまり、この映画は、ホン・サンス流の映像レトリックで、先のラブレターの内容のように前後がバラバラになってしまっているのに気がついたが、もう、こちらの時系列もバラバラ。
おまけに加瀬亮は旅の疲れなのか、自室でよく眠っていて、彼女とのハッピーな夢を見るらしく、その映像もインサートされるので、ジグソーパズルのように現実と夢想が前後不覚となってしまった。
ま、こうした青春のスクランブル・ラブ・ストーリーに慣れているファンには、これも実感を伴った<ありがちなラブロマンス>のボタンのかけ違いかもしれない。
おまけに、そのゲストハウスでは、韓国語と英語と日本語などが辿々しく交錯するので、見ているこちらもアタマの中がバイリンガル騒動で混乱してしまった。
やっぱり異境でのラブストーリーって、なかなかうまくいかないのだ。
■サインのミスでバント失敗。それでもファースト投球が暴投セーフ。
●12月13日より、シネマート新宿ほかでロードショー