細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『真夜中の五分前』で、なぜか時計は止まってしまった。

2014年10月16日 | Weblog

10月14日(火)13-00 西銀座<東映本社7F試写室>

M-114『真夜中の五分前』" Five Minutes to Midnight " (2014) Shanghai Universaljoy Pictures / Super Entertainment・アミューズ 

監督・行定 勲 主演・三浦春馬 <127分> 配給・東映 ★★☆

またしても、このところ連続して<ダブル>の映画だ。しかもカフカとか心霊ではなく、これは一卵性双生児のふたりの女性とのラブストーリー。

原作は同名の本多孝好の小説で、上海とモーリシャスが舞台になっている。だから映像的には外国映画のようだが、印象はアジアンな中国語による無国籍な気分。

ふとヒッチコックの「めまい」を連想したのがいけなかった。これはミステリーでもサスペンスでもなく、何とも得体の知れぬ恋の迷路で、<五分間>がやたらと長い。

上海で古い時計屋の修理工をしている三浦のところに、妹の婚約祝いのプレゼントのためのアンチックな腕時計の修理に、双子の姉だというリウ・シーシーが現れた。

彼女とは近所の水泳プールで見かけたことがあり、その美貌に恋ごころを抱いていた三浦は、自然に謎めいたリウに惹かれて行ったが、女優をしている妹と会ってからドラマは急転する。

それにしては、ひどく思わせぶりで、テンポの鈍い演出に、これが本当に、あの「GO!」の行定監督の演出かいな、と思いつつ、次第にそのテンポの遅さにイライラしてしまった。

というのも、この美しい姉妹に表情や演技のアクセントの差がなく、見ていると、もうどちらでもいいや、という気分になってしまった。これがテーマの狙いだとしたら、わたしはつき合いきれない。

恐らく原作小説には、モーリシャスで水死したという妹や、そのフィアンセの心情なども細かく描かれているのだろうが、これは映画。モーション・ピクチャーなのだ。

その映像の語り口が、かくもダラダラと魅力がなくては、とても5分前とは思えない。これがアジアン・ラブ・ストーリーなのだというなら、わたしはパスしたい。

美人姉妹とのおつきあいはご用心。

 

■ファールで粘っての結果、ボテボテのファースト・ゴロ。

●12月27日より、東映系全国ロードショー