●2月19日(木)13-00 六本木<シネマートB-1試写室>
M-021『カフェ・ド・フロール』" Cafe de Flore " (2011) Fine Films / Item 7 / Monkey Pack film カナダ
監督・ジャン=マルク・ヴァレ 主演・ヴァネッサ・パラディ <120分> 配給・ファインフィルムズ
あのパリの、ジョルジュ・サンクとシャンゼリゼの角にある、あの有名な「カフェ・ド・フロール」が舞台のロマンティックな映画かと思って見たら・・・早トチリ。
たしかに原名のタイトルはカフェの名前だが、この映画は、あのカフェとは直接は関係ない。しかも甘いラブ・ストーリーでもない。
おまけに監督が、昨年評判になった「ダラス・バイヤーズクラブ」のJ=M・ヴァレとなると、これは気になる。が、これも私の早トチリで、監督の4年前の未輸入作品。何てこった。
それでも沢山、試写を見てると、いわゆる<拾い物>もある。それならば嬉しいものだが、この作品は手こずった。というか、当方の趣味ではない120分は長過ぎてきついのだ。
やたらと時間差が変わるという、映画的なレトリックはよくあるので、とくに回想シーンの多い作品は、面白ければ愉しい。あのボギーの「渡洋爆撃隊」などは3回も時代が逆転したっけ。
こちらの作品も、負けずとややこしい。カナダのモントリオール。DJのケヴィンは離婚していたが、新しい恋人と恋に落ちていた。彼が好きな曲が<カフェ・ド・フロール>。つまりこの曲が重要なのだった。
しかし別れた前妻は病的にノイローゼになっていた。それは夢に出てくる不思議な少年で、どうもこのモンスターには1969年のパリでの悲劇があとを引いているらしい。
で、その1969年のパリでのオゾマシイ悲劇が回想される。失恋したヴァネッサはひとりでダウン症として生まれた男の子を育てる覚悟をしていたが、その育児の日々は泥沼のような展開となるのだった。
ま、単純な発想とすれば、現実の精神的な病苦には、その過去の悲劇が影響しているという発想であって、よくいう<ご先祖のたたり>というケースなのだろう。
困ったのは、その重複して行く過去のエピソードが、明快な映像とか演出で区別されていれば、こちらのアタマの整理ができるのだが、そんなに単純ではない。
わたしはどうも、この難解な映像のゲームにはフォローできないままに映画は唐突に終わってしまった。
■当たりはヒット性の弾道だったが、ショートが回り込んで好捕。 ★★☆☆
●3月28日より、恵比寿ガーデンシネマなどでロードショー