細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『ジェームズ・ブラウン*最高の魂を持つ男』で甦る<ゲロンパ!>のリズム感。

2015年02月27日 | Weblog

2月23日(月)13-00 半蔵門<東宝東和試写室>

M-022『ジェームズ・ブラウン/最高の魂を持つ男』" Get On Up " (2014) Universal International /Imagine Entertainment

監督・テイト・テイラー 主演・チャドウィック・ボーズマン <139分> 配給・シンカ

<リズム・アンド・ブルース>の最高のビッグ・スターとして60年代から大活躍したレジェンド歌手として、その名声は未だに多くのタレントに影響を与えている。

同時期に大スターだったレイ・チャールズは、同じく黒人だがゴスペル色が強かったのに対して、このジェームズ・ブラウンは派手なブラス・セクションをバックにディスコキング。

誰だって彼の曲とスタイルは知っているし、いまでもファンは多く、この作品も<ローリング・ストーンズ>のミック・ジャガーが名手ブライアン・グレイザーの協力でプロデュースした。

つまりロックの基礎でもあるリズム・アンド・ブルースの誕生とその魅力を叩きつけた、アメリカン・ポピュラー音楽史の、非常に大きなスペースを持続した男の、強烈な個性と人気を見つめた力作だ。

タイトルは、こちらでも<ゲロンパ!>という音感で親しまれたリズムだが、作品は極貧の少年時代から、次第に独特のリズム感覚でレコード界に進出していく経緯を色濃く描いて行く。

マイケル・ジャクソンやモータウン・サウンズのリズム感、そしてあの<ブルース・ブラザース>にも多くの影響を与えた背景も、実に丁寧に描かれていて嬉しい。

しかも年代順の人気開花を描くような従来のミュージシャン伝記ものとは違って、時代差はランダムにつないで、むしろジェームズ・ブラウンのヒット曲を多く聞かせるという構成は嬉しい。

あの70年代からのディスコ・ブームで踊った青春のファンには、これは苦くも熱い青春の烙印であって、この強いリズム感覚は体から抜けてはいまい。それだけこのリズム間は強烈だ。

さすがに、ミック・ジャガーがプロデュースしているだけに、音楽シーンでのチャドウィックのパフォーマンスは忠実に本人のスタイルを再現していて、ジェイミー・フォックスの『レイ』に負けていない。

同時期に活躍した「フォー・シーズンズ」をイーストウッドが昨年「ジャージー・ボーイズ」で見事に描いたが、白人グループの崩壊とは対照的に、この黒人歌手の自信過剰とリズムの迫力は圧倒的だ。

これもアメリカン・ポピュラー音楽の貴重な歴史の1ページを描いた力作として、音楽ファンには見逃せない味わいは濃い。

 

■初球のストレートを狙ってのセンター前ヒット。

●5月30日より、渋谷シネクイント他で全国ロードショー