細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●『虎影』コミック・チャンバラで暴れる斎藤工の魅力は。

2015年06月03日 | Weblog

5月26日(火)13-00 六本木<アスミック・エース試写室>

M-063『虎影』" TORAKAGE " (201) <torakage>制作委員会

監督・原作・脚本・編集・西村喜廣 主演・斎藤 工 <94分> 配給・ファントムフィルムズ

いろいろな映画雑誌のグラビア表紙を飾り、人気絶頂のイケメン青年、斎藤 工の噂の新作という訳で、ヤジウマ的ミーハー根性で見に行った。

というのも、昨年の『るろうに剣心』シリーズには、大いに映画的快感を憶えたファンとしては、タイプは違うが、この劇画風の<モダーン忍者時代劇>も、当然、見たくなる。

ただ、「進撃の巨人」の特殊造型プロデューサーの西村喜廣によるワンマン・ムービーとなると、かなりコミック系の過剰な映像表現もアリだな、という趣味的な危惧もあった。

もちろん、ヤジウマ根性には、超人気者の斎藤 工の素浪人忍者の演技ぶりも見てみたい。というワサモン趣味も正直にあったが、どうも先達「るろうに剣心」のようなタイプではなかった。

最強の忍者といわれた<虎影>は、俗世を離れて山郷で静かに暮らしていたという発端は、イーストウッドの、というよりは、伝統的な西部劇や、多くの任侠映画にもよくあった設定。

しかし案の上、隠されていた財宝の行方をめぐって、家人も巻き込まれて事態はヤバい状況となり、それ見ろ、という展開で忍者<虎影>くんも、天下の財宝奪回の修羅場に復活し、参戦していく。

ま、ストーリーは実によくある復活アクション・パターンだが、それを派手な劇画風のスピードアクション設定と、いかにもバトル・コミックにある奇怪なキャラクター達がゾクゾクと登場しては暴れ回る。

とくに予測されたように登場する「進撃の巨人」型のモンスターたちのグロテスクなバトルは、ま、その向きの趣味のファンには悶絶の連続だろうが、やはり後期高齢者には閉口させられるのも心情。

監督は、あのブルース・ウィリスの「ダイ・ハード」が、ベイスにあるのだというが、どうしても視覚的にはバトルゲームのキャラクター・デザインが、わがセンスの極度な老化現象退化を嘆かせるのだ。

従って「るろうに剣心」に熱狂したスタンダードな時代活劇映画ファンにとっては、人気劇画趣味に、よりエスカレートした俗世コミックの押し売りに対応する柔軟性が要求されるのだ。

という次第で、イケメン斎藤工くんの演技云々というのは、綾野剛のような現代劇でのアピールを見てみないと、何も語るポイントは見当たらないが、それでもファンには嬉しい視線はサービスしている。

 

■当たりは痛烈だが、あらかじめシフトを変えていたセカンド正面ライナー。 ★★★

●6月20日より、新宿武蔵野館などでロードショー