●6月17日(水)10-30 二子玉川<109シネマズ>3番スクリーン
M-074『海街 diary』東宝映画+GAGA、小学館、フジテレビジョン
監督・是枝裕和 主演・綾瀬はるか <126分> 配給・東宝
これもまた人気コミックの映画化で、吉田秋生の2007年単行本化されたものを、あの名作「そして父になる」の是枝監督が映画化。
とのかく前作の大ヒットで、当然、春先の東宝試写室も混雑して、GAGA試写室も予約不可能な人気。で、試写は諦めて、それならばご近所のシネコンで見た方がいい。
それでも10時30分の早朝上映回から、大きな3番スクリーンの座席も、かなり混雑しているが、でもやはり劇場の方がゆったりしていていい。
当然のように、周囲の観客には圧倒的に女性が多く、「桜の園」か「若草物語」のような、温厚な女性映画だけに、どこか女子大のクラス会に紛れ込んだ変態ジジイの気分。
それでも是枝監督の演出ポイントは、さすがに心地よいスタンスで、ゆったりとしたカメラアングルは、その空気感が清々しい。それは早朝の映画館の空気感にもよるのだろう。
鎌倉の旧家に三姉妹を残して離婚した父親は、北海道で病死して、その葬儀に出向いた長女の綾瀬は、初めて父の最後の妹、広瀬すずに会い、咄嗟に同居をすすめた。
映画は、突然、単身で鎌倉にやってきた末妹の視線で描かれて行き、さわやかな江の電の近くの坂の旧家を舞台に、新しい4人姉妹のホームドラマとして展開していくのが心地いい。
見ていると、たしかに女性だけの家族なので、派手な暴力沙汰もなく、どこか古き小津や溝口や成瀬の映画のように、まさに<昭和の空気>を懐かしく感じさせ、非常に穏やかなペースだ。
だからまるで連続テレビドラマのような穏やかな空気に、さらりと流されてしまうが、ラスト近くで、長女の綾瀬が、新しい妹を<秘密の絶景ポイント>に案内するシーンが良かった。
遥かに海の見える丘に登ると、「お父さんのバカヤロー!!!」と綾瀬が叫び、続けて、すずが「お母さんのバカヤロー!!!」と絶叫する。ここが一番良かった。
「でも、バカなオヤジは、こんな可愛い妹を作ってくれた・・・ありがとう」と呟く。ま、とにかく、穏やかな、そして健全なる昭和的な本格姉妹映画ではあった。
■レフト線のゴロがファールラインを転々として、滑り込みセカンドセーフ。 ★★★☆
●全国でロードショー中